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白雪姫症候群って

魔女が白雪姫の美しさを妬んで、姫を亡き者にしようと企む物語を書いたのはグリムです。その物語を知らない人はいないでしょう。

佐藤紀子氏は、この物語をヒントにして、子どもの時に虐待された母親が自分の娘に毒リンゴを食べさせようとする心理を「白雪姫症候群」と呼んでいます。

グリム白雪姫物語のあらすじを短く書いておきましょう。

女王の嫉妬から殺されそうになった白雪姫は、家来の機転で辛うじて一命をとりとめます。森に住む7人の小人や動物たちと幸せに暮らします。そんな中、白雪姫が生きていることを知った女王は、妖婆に化けて毒リンゴを食べさせようと企みます。そして、その企みの毒牙にかかった姫は生命を落しそうになります。

この話を絵本で知りましたが、多くの子どもたちはディズニー映画で知ったのではないでしょうか。

この「白雪姫」の原作は、どうも違っていたようなのです。女王(妖婆)が毒リンゴを食べさたのではなく、実母が毒リンゴを食べさせた物語になっていたというのです。

原作が出た時、ドイツの人々の顰蹙をかったことは容易に推察できます。で、実母ではなく、女王(妖婆)に置き換えられたというわけです。

実母が、わざと病んでいる子どもに良くない薬を飲ませて病状を悪化させるという精神疾患があります。病名は忘れましたが、この病を思い出させる怖いお話です。

どうしてグリムは、こんな物語を書いたのでしょうか。このお話の元々の話が伝承として伝わっていた可能性を、私は指摘しておきたいと思います。というのは、グリムは若い頃に、各地を歩いて伝承物語を採集していたからです。白雪姫は再話ではありません。が、様々な伝承、神話を集めながら、白雪姫の着想を得たのではないか、というのが私の想像です。

童話は子どものための物語ではありません。子どもを読者に仕立てていますが、グリムの本音は、大人が子どもに読み聞かせさせてほしかったのです。余談ですが、読み聞かせの効果は子どもよりも音読している大人の方にある、というのが私の気づきです。

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