ナレーターはいい声で読みたい
昨日の記事で、「横書き原稿はナレーター泣かせ」と書いた。ナレーターから、「台本は縦書きにしてください」と注文がつく。
役者台本は縦書きが決まりである。アナウンサー原稿も縦書きである。
入門期の日本語教科書も縦書きである。
ここで日本語縦書きを分析的に語ってみよう。
元々日本語文章は縦に書く漢字仮名混じり文であった。漢字と仮名を混ぜている文章は他国にない。
漢字は中国から移植した。仮名は日本人の発明の産物である。脳科学的に言えば、漢字は絵のよう認識する。言い換えれば表意を表わしている。仮名は表音である。脳みそは、表意を素早く処理しようとする。表音は少しゆっくり処理する。この2つの脳処理は別々の部位で行っている。別々なのだが同時に連携して行っているので、日本人脳は複雑である。
この漢字仮名混じり文を縦に読むナレーターは、上下に往復運動をする。眼球だけではない。頷きながら上半身を小刻みに運動するのだ。この頷き運動が読みのリズムを整える。
つまり、漢字仮名混じり文は縦に読むのが合理的なのである。縦に読めば、眼球は程よい引っかかり抵抗を感じ、加えて頷き上下動により、構音調節がしやすい。
日本語文章を声に出して読むには、縦書き原稿がいい。ナレーターはいい声で読みたいのだ。