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初めに文があった②

昨日、1歳代の幼児が「ワンワン」という時、それは語ではなく一語文ですよ、という話をしました。ワンワン発語の深層構造を推理してみると、「ワンワン、いる」の「いる」という混沌とした意味が隠れています。「いる」という言葉が獲得されていないからです。お母さんが、「ワンワン、いるね。ワンワン、いるね。」と繰り返し反応すると、やがて幼児は「ワンワン、いるね。」と言えるようになります。

「初めに言葉があった。」

これは聖書の一節です。

私は、
「初めに文があった。」と言い換えてみたいと思います。

一語文は、まさしく文の始まりです。

私たちの脳は、文で記憶するように仕組まれています。文(物語)で記憶すれば、長期記憶収納庫に収められやすくなります。が、単語を機械的に覚えようとすると、短期に記憶することはできますが、長期記憶収納庫には収めることは困難です。

ある学校での出来事です。都道府県名を記憶させようと訓練している場面を見たことがあります。大分県という漢語が出てきた時、A君は、それを「オオワケケン」と読みました。それを先生が訂正して、「これは特殊な読み方でオオイタケンと読むのだよ。」と教えました。繰り返し、繰り返し、「オオイタケン」と唱えさせました。こういう覚え方も一理あります。が、「大きく分けた国の名前をオオイタケンと言います。」エピソード風に覚えさせたら、と思いました。

では、英語学習はどうでしょうか。ビンゴゲームで英単語を覚える手法は、いい覚え方だと思います。が、どんな単語も文の中に還元して初めて生き生きとした意味が浮かび上がるものです。

現在使っている『DUO BASIC』は、初めに文があるのだよ、という方針のもとに英単語が並べられています。文中の単語を引き出して並べる手法です。そして、その単語を文中に戻して音読すれば、長期記憶収納庫に収めやすくなるよ、と言っているようです。

繰り返しになりますが、初めに単語があったのではありません。

初めに文があったのです。なんとなれば、幼児は一語文から話すではありませんか。

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フンボルト
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