白いベンチ
皆さま、残暑お見舞い申し上げます。
白いワイシャツ、白いスカーフ、白には人々を安心させる力があるように思います。
紙の色は、多くの場合白色です。が、ベンチとなると、白ばかりではありません。30歳の時にロンドンを旅しました。公園のあちこちに置かれているベンチは重厚な樫の木、オークで組み立てられたベンチでした。
15年ほど前、北海道鹿部Mさんのお宅を訪れました。250坪の庭に白いベンチが置かれていました。
「どうぞ」と勧められるままに、そのベンチに座りました。座るのが勿体ないと思うほど、そのベンチがあまりにも美しいので、私は少し躊躇しながら座ったことを覚えています。白樺、白いルピナス、白い薔薇などを背景に、その白いベンチ(長椅子)は何にも言わないで鎮座していました。
「手入れされていますね。」
「はい、時々塗り重ねているだけです。」
こんなことを思い出しながら、猛烈な暑さの中、拙宅の長椅子の汚れを洗い流しました。こうして書いている間に乾くことでしょう。乾いたら、白のシーラを塗るつもりです。そのあとに真っ白なペンキで仕上げ塗りをします。
白い恋人になりそうです。