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RTA in Japan Winter 2023にTouhou Luna Nightsの解説で参加した話

ありがたいことに、2023年冬のRiJでも解説として参加する機会をいただけたので、今回も参加レポを執筆いたしました。

前回の記事に比べれば短いとはいえ7000文字を超えておりますが、もしよければお付き合いいただければ幸いです。


・解説決定まで

今回のRiJにはジーコサッカーとAIポートピアで応募していたのですが、残念ながらどちらも落選。
倍率の高さを考えても納得ですし、今回はご縁がなかったということで、観戦に回ってイベントを楽しむつもりでした。

視聴者として特に楽しみにしていたゲームの一つに、自分でもRTAを走っているTouhou Luna Nights(以下TLN)がありました。

走者のYKNさんはこのゲームのRTAに関するさまざまな知識を教えてくれた恩人であることも手伝って、この時点ではいち視聴者として純粋に楽しみ!と思っていました。

また、YKNさんは「RTA in Japan Winter 2021」にTLNの別カテゴリー(Reverse Boss Order)で出場されていました(下記の動画がその時の雄姿です)し、仮に解説がつく場合であっても自分ではないだろうなあと考えていました。

そんなこんなで、12月頭まで「今回は抽選ないみたいだからTLNとドーナツ・ドドを現地で見られるぞ~やった~」と完全に野次馬気分だったのですが、
12月4日にYKNさんから「RiJの件で相談したいことがある」という連絡をいただきました。

このタイミングで相談が来るということは、解説ないしは現地における何らかのサポート役かな?という大まかな予測はつきました。
2021年の冬にはシレン5の3人並走において、走者の皆様のアイテム取得情報などを裏でまとめるサポートの役割を担当したこともあったので、どんな形であれ、YKNさんのお役に立てるのであれば嬉しいと思っていました。


そして、実際に相談が行われた際のやり取りがこちらです。


YKNさん「解説を依頼させていただきたいのですg」
ぼく「やります(食い気味)」


というわけで、解説を担当させていただけることになりました。
走者・解説を通じて冬のRiJに参加できるのは初めてだったのと、YKNさんに解説を任せていただけるほど信用していただけていたことが合わさって、お話をいただいた時は本当に嬉しかったですね…

・本番までの準備

YKNさんがプレーするTLNで解説を担当したのは今回が初めてではなく、過去には2022年11月に行われた「1 hour thon」というイベントにおいても、解説を担当させていただきました。

その時は「EX%、No Major Skips(主要なスキップ技禁止)、HP1モード(被弾=死)」という非常に難易度の高いカテゴリーであり、ESTも45分と比較的長かったため、説明したいことをある程度余裕をもって伝えられるだけの尺がありました。

しかし、今回のカテゴリーであるAny%ではESTが大幅に短くなり、順調に行けば13分前後で走り終わることになります。

その短い尺において、

・基本的なゲーム内容、特徴的なシステムの説明
・RTAにおける主要なテクニックの紹介
・現在、何が起こっているかの解説
・ボス戦における敵の攻撃パターンと、その対策・攻略法

これらの情報をできるかぎり多く、かつわかりやすい形でお伝えしなければなりません。

そうなれば、取るべきアプローチは一つ。2023年夏の東方剛欲異聞と同じ、ハイスピード解説です。

とはいえ、どれだけ頑張っても伝えたい情報を全て伝えることは不可能。
尺の都合で「細かいけどここでYKNさんがやってることめっちゃ上手いんだよな~」という部分も泣く泣くオミットしなければならないので、取捨選択は適切に行わなければなりません。

試行錯誤を重ねた末に、最初から最後までミスなくプレーが終わった場合の台本を脳内に全て叩き込み、基本的にその流れに沿って解説を行うのが最良のアプローチだと判断。

それを実現させるために、最低でも1日1回はYKNさんの練習配信を見ながら反復練習を行い、よりわかりやすいor面白い台詞回しにできる部分を適宜修正しながら本番に備えていきました。


このアプローチで解説をする際に最も気を付けなければいけない点は、「最初の部分をミスしてしまうと、その後の解説が全て想定通りに進まなくなってしまう」ということです。

そのため、最初の挨拶からスライディングナイフの説明をするまでの下りについては特に重点的に反復を重ね、半ば無意識の状態でも淀みなく出てくるレベルまで練度を高めていく努力をしました。

特に、スネイルについての解説をする部分は練習の時点で詰まってしまいがちだったので、苦手意識をなくすためにも徹底的に対策しました。
こうした日々の練習が、本番において意図しない形で大いに活きることになります。


また、今回はYKNさんの意向もあってタイマースタートまでの時間を最小限にとどめ、自己紹介はタイマー開始後に行う形を取りました。
個人的にもプレー前後の時間は少なければ少ないほど良いという価値観を持っておりますので、もちろん快諾させていただきました。

自己紹介を最小限にとどめるためには、手っ取り早く自分を理解してもらえるようなワードを簡潔に伝えて終わりにするのが一番です。

ましてや、自分の場合は解説のスピードが非常に早くなってしまうこともあり、「こいつはどういう解説をする人間なのか」という点について早めのタイミングであらかじめお伝えしておかないと、視聴者が離れてしまいかねません。


そう思った時に、RiJの解説でもおなじみのワイズさんから、昨年夏にかけていただいた言葉が頭の中に浮かんできました。

「SASさんがアトランチスの謎の解説の時に使った、
『アンシャントロマンを走りました。以上です。』
って自己紹介。あれだけで伝わるの、本当に強いですよね。」

ワイズさんほどの方がそう感じられるのであれば、短く済ませられる自己紹介として絶対に使えるな、と考えました。
「あんたほどの実力者がそういうのなら…」というやつです。

それに加えて、前回解説に入った剛欲異聞の名前を出すことにより、「これからどういう解説が展開されるのか」を端的に伝えられると思いました。
東方つながりかつ、あちらは公式作品ということもあり、TLNに興味がある方は前回の剛欲異聞も見てくださっている可能性がそれなり以上にあるのでは、と考えたのもあります。


本番までに行った2回のリハーサルではYKNさんにお褒めの言葉もいただき、自分としても解説としての仕上がりには過去最高に自信がありました。

しかし、最初から最後まで喋ることを決めたうえで高速の解説を行っていくため、少しでも解説をミスすると伝えたいことを全て伝えることができないという懸念は持ち続けていました。

それもあって、仕上がりに自信はあるが本番で緊張してミスするのが怖いという理由により、これまでとは別のベクトルでナーバスになっていました。

何はともあれ、不安を解消するためには練習あるのみ。本番の1週間前に急に大量の仕事が降ってきて大忙しになったりもしましたが、時間を見つけて最低でも1日1回は解説の通し練習を行うことだけは守り続けながら、本番に備えていきました。

・本番

そして迎えた本番ですが、今回は過去の出番に比べても想定外の事態が多かったです。

まず、走者のYKNさんと共に席に着いた際に、自分(解説)の目の前のモニターにSteamの起動画面が出てきて、YKNさんの前にはアイコンのないデスクトップしか出てこない、という現象が発生しました。

自分も普段からデュアルスクリーンを使っているので、「恐らくメインスクリーンがこちら側に設定されてしまっているんだろうな」という目星はついたのですが、はたしてデュアルスクリーンを勝手に解除してしまっていいものか、近くにいたボランティアの皆様も含めて見当がつきませんでした。

勝手に行動するのもまずいのでとりあえず待機していたところ、隣のテーブルにいたアジーンさんが担当の仕事を終えてこちらに来てくれました。

そこで事情を説明したところ、

「あー、これ抜けば大丈夫だよ」

と言ってPCに差さっていたHDMIケーブルを抜く。すると、あっさりデュアルスクリーン状態が解除され、本来想定されていた画面の状態になりました。
なんというか、流石としか言えなかったですね…


また、直前のメタルホークがゲームセンターからの中継という特殊な形態だったこともあり、セットアップには長い時間を要していました。

どうも音声の設定がなかなか上手くいかなかったようで、その影響で「もしかしたら順番が前後して、メタルホークを飛ばして次にルナナイツをやってもらうかもしれないです」といった旨の告知を受けました。

その時点では心の準備は正直まだできていませんでしたが、なにぶん事情が事情ですし致し方ないことなので、そうなった場合はやりきる覚悟はありました。

結果的には、その直後に音声の問題が解消されて無事にスケジュール通りの進行となりましたが、こういう予想外の事柄やフレキシブルな対応が生まれるのもオフイベントの本番ならではですね。


さらに、メタルホークのESTが20分だったので、開始から4分くらいの時点で本番に備えていったんトイレに立ったのですが、ラウンジに戻ってきたタイミングで「間もなくタイマーストップです!」的な声が上がっていました。

その時は「いやまだ開始数分でしょ…さすがに茶番では…?」と思ったのですが、7分が過ぎたあたりで本当に数字が黄色くなったのでマジでした。
イベントに出るにあたっては念のため、前のゲームについてもちゃんと調べておかないとダメだなあ、とあらためて感じましたね…


ただし、今回は本番が始まるまでは、今までで一番変な緊張をせずに平常心に近い状態で臨めたのではないかと思います。
本番が始まるまでは。


まず、前回までのRiJでは会場で配布されたマスクを着用することがルールになっていたのですが、今回はその部分のポリシーが変更になっていました。

これまでも来場者の希望に応じて複数の種類のマスクを用意していただけておりましたが、自分にとってはどれも口のサイズに合わず、呼吸の際に多少の違和感が生じたり、痛みの影響で集中できない事態が生じていました。

そのため、自分が普段から日常生活で使っているマスクを使用できるのであれば、これまで以上に解説に集中できるかもしれない、と考えていました。


とはいえ、これまでのRiJとは違うマスクを使うことになるため、念のために使用感を確認する必要があるという認識はありました。

そこで、練習部屋で本番を想定した解説のリハーサルも行っておいたのですが、その際には取り立てて大きな違和感は生じませんでした。

それによって「これなら大丈夫だろう」という手ごたえは得ていましたが、往々にして練習と本番は違うんですよね…


本番ではアドレナリンが出てテンションが上がってしまうことに加え、「普段以上に声量を出さなければいけない」という意識が働いてしまっていたのか、マスクが思った以上に動いてしまうことになりました。

本番前の時点で自分なりに確認を行ったうえで「大丈夫だろう」と感じていたこともあって、本番が始まってから自分の落ち度で想定外の事態を招いたことによる精神的なダメージは大きなものがありました。


ただし、序盤はその影響で解説に100%集中することができなかったものの、常に同じ解説をできるように毎日練習を重ねていたおかげで、集中を別の部分に持っていかれた状態であっても、概ね想定通りの流れで解説を進めることができました。

特に、自己紹介からスネイルの説明に至る箇所をミスなくこなせたのが本当に大きかったですし、この部分はまさに練習の成果を出せたところだと思います。

状況的にも序盤で詰まるとそのままガタガタになりかねなかったですし、「練習は裏切らない」という言葉を人生で一番実感できた日になったかもしれませんね…


また、「2面の終盤にチェーンソーを取るところで、喋っている内容にかかわらず無理のない流れで解説を終え、直後に待っている壁抜けの説明に切り替える」という段取りをあらかじめ決めていたのも大きかったです。

それによって、本来想定していた5面序盤までの流れを一気になぞることができました。

本来用意していた解説を消化していく間に色々と吹っ切れたこともあって、5面に入って以降はほぼ後悔のない解説ができたと思います。やっぱり準備の力は大きいですね。


ちなみに、最後の挨拶ではもう少しスピードを落として喋るつもりでしたが、本番を終えた直後でテンションが高くなりすぎていたせいで喋るスピードを全く制御できず、結局解説と同じくらい高速のトークになってしまいました。

ただ、そのおかげで綺麗にエンディングが終わったタイミングで切り替わる形になったので、今となっては結果オーライだったかもしれませんね。


ここからは少し具体的な解説内容の話になりますが、解説を担当するにあたって自分が最も重視している点は以下の2つです。

・走者の凄さを伝える
・ゲームの魅力を伝える

この2点が最も重要であり、解説である自分のことは正直どうでもいいと思っています。
主役はあくまで走者の方とゲームそのものであり、解説はその理解の一助となれればそれだけで良いわけですし。


走者が「ここミスっちゃったなぁ」みたいなことを言うのは自分が走っている時にもよくやるし取り立てて問題になることもないと思っていますが、解説が細かいミスを重箱の隅をつつくように指摘する必要はない、と個人的には考えています。

正確な情報を伝えるのも大事ですが、非常に難しい技をちょっとミスしてしまった時などにそれについていちいち触れるのは、走者の凄さを伝えるうえでもマイナスになりかねませんしね。


なので、今回は走者の方が完璧なランを行ったと想定したうえで頭の中に台本を叩き込み、大幅なタイムロスにつながった場合はアドリブで間をつなぐスタンスを取ろうと考えていました。

この部分に関しては前回の剛欲異聞と同じですし、本当に大きなミスが起こった際にはそれをフォローしつつ、細かい部分のミスは走者の方のマイナスにならない形で別の解説を適宜挟む形にしています。

その点、今回のRiJではYKNさんが2面の道中以外で大きなミスをほとんどせず、まさに完璧に近い走りをしてくださったこともあり、ほぼ想定通りの台本に則って解説を行うことができました。

一発通しとは思えないプレー精度で見事な走りを見せてくれたYKNさんのプレーによって、解説の自分も非常に助けられました。本当にありがたい限りです…


ちなみに、ワイプには前回の剛欲異聞と同じ感じで、咲夜と美鈴のふもふも(+フランのゆっくり)を置いておきました。


この子たちです

元々YKNさんのポストを見て、咲夜のふもふも(よーく見ると、YKNさんが自作されたチェーンソーも装備しています)を持参されるのは知っていましたので、だったら自分も何か持っていこうかなあと思いまして。

今回のカテゴリーで出てくるキャラクターはこの3人しかいない(詳しくは実際にプレーしてストーリーを見てね!)ので、そういう意味でもちょうどいい人選かな、と考えて美鈴のふもふもを持っていきました。

ゆっくりフランのポーチ(しまむらコラボ時にノリで買った)は内容量が小さすぎてまともに使ったことが一度もなかったのですが、とうとう役に立ってくれてちょっと嬉しかったです。
つくづく、いつ何がどう役に立つのかわからないものですね。

夏のRiJの時と同じく、無敵時間さんのブースの隣にあったぬいぐるみコーナーで写真を撮ったりもしましたし(今回の記事のサムネイルがそれです)、走者の方との思い出をこういった形で残せるのも嬉しいものです。


また、本番のランについてのより詳しい振り返りをしたいという思いもあり、走者のYKNさんとRiJの走りを振り返る配信も行っております。

本番では尺の都合でやむを得ず触れられなかった細かい部分の説明や、YKNさんが見せた数々のテクニックなどについても詳細に解説を行った結果、13分のランを振り返るのに2時間ほどの時間を要しました。
このゲームのRTA、やっぱり奥深いですね…

もしお時間とご興味のある方は、こちらも併せてご視聴いただけると嬉しいです!


・おわりに

今回の解説を100点満点で採点すると、個人的には85点といったところです。
しかし、こちらの準備不足でマスクが動いて集中力がやや削がれたという一点を除けば、あの時点で自分にできることは全てこなせたと思っています。

その点では積み重ねてきたことを大いに生かせたと思いますし、色々なことを想定したうえで練習しておいて本当によかったですね…

もちろん、本番でマスクの選定を誤ったのは完全に自分の責任ですし、オフイベに出場するにあたってはしっかりと自分に合ったマスクを選ぶことが大事である、ということをこれ以上ない形で学べた点は、今後の活動において大いに活かしていきたいと思っております。

何よりも、YKNさんと視聴者の皆様のお役に少しでも立てたようであれば、自分にとってそれ以上の喜びはございません。


あらためて、冬のRiJに初めて解説として参加できたこと自体が本当に嬉しかったですし、この機会をいただけたことに感謝の限りです。

RiJという大舞台で自分に解説を任せてくださったYKNさん、
お忙しい中、本番に向けてさまざまな環境を整えてくださった運営・ボランティアの皆様、
そして、ご視聴ならびに応援してくださった皆様、
本当にありがとうございました!!


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