『料理雑記 その15: 情熱の国のおふくろの味、トルティージャ』
スペインが好きだ。
ちょっとなに言ってるのか分からないと思うが、そもそも私の戯言など理解されなくともなにひとつ問題はないのでサクサクと話を進めさせて頂く。
阿呆の病気がまた出たよ、とでも思って頂きたい。
ユーラシア大陸の南西端に位置するイベリア半島にて500年以上の歴史を誇るスペイン王国。
大西洋と地中海に囲まれた肥沃の地には古来より様々な人々が流入し、文化を育み、そして争い、歴史を紡いできた。
その建国から世界最強の帝国となるまでの歴史が、それを打ち立てた偉人たちの生き様が、太陽の沈まぬ国の没落が、特色のありまくる地方性が、情熱と哀愁のフラメンコが、陽気で家族を愛する国民性が、そして綺羅星の如く輝く料理と酒の数々が、どうしようもなく私を魅了するのだ。
はい、そのようなワケで今週からしばらくスペインの料理を紹介しようと思います。
意味不明? 何をいまさら。
また、料理とともにスペインの愉快な偉人たち、バルとタパスの文化、フラメンコとシェリーの都などの四方山話もやっていきたい。
お付き合い頂ければ幸いである。
とりあえず今週の料理はスペインのソウルフードのひとつ、トルティージャだ。
日本ではスペイン風オムレツとも呼ばれる。
具のたっぷりと入った丸い形のオムレツである。
家庭でもよく作られるが、バル(カフェ+レストラン+立ち飲み居酒屋のようなスペイン人の生活に関わりの深い飲食店)にも必ずあるメニューだ。
中に入れる具は家庭や店によって異なるが、だいたいの場合は揚げるか炒めたジャガイモが入る。
その他に何を入れても自由。
日本で言えば家庭や店によって味や具が異なる味噌汁のような感じだろうか。
まさにスペイン版おふくろの味である。
卵の焼き上がりとジャガイモの熱入れで味わいがまるで異なるという、シンプルながらに奥深い料理だ。
我が家のトルティージャも具はたっぷりのジャガイモとタマネギのみ。
だというのに何度食べても飽きることがない。それどころか、焼く度に微妙に味わいが違う。
つくづく、己の未熟さと料理の奥深さをまざまざと感じさせる一品なのだ。
~トルティージャ~
①ジャガイモとタマネギをお好みの大きさに切りオリーブオイルを引いたフライパンで弱火で10分ほど炒める
②ボールに卵2~3個を割り入れ軽くかき混ぜ、冷ました①と少量の塩を加える
③小振りのフライパン (私の場合は16cmのスキレットを使用)にオリーブオイルをよく馴染ませて火にかける。ある程度温まったら②を流し入れ、何回かかき混ぜて弱火にして蓋 (なければアルミホイルでも可)をする。8~10後、ひっくり返して裏面も2分ほど焼いたら出来上がり
おまけ
~アリオリ風ニンニクマヨネーズソース~
①ニンニク1かけの皮を向き、ラップでくるんでレンジに20~30秒かける
② ①を細かく刻み、マヨネーズと混ぜたら出来上がり
固めに焼き上げた卵と柔らかくなったジャガイモの滋味、玉ねぎの甘味。アリオリ風味のシンプルなソースがこの上なくマッチして、ただそれだけの素材が、こんなにも美味しい。
ビールもいいが、スペインらしくカヴァやシェリーと合わせてもグッドだ。
いつでも作れて、いつでも美味しい。
簡単に聞こえるが、ある意味で料理の到達点の1つではないだろうか。
遥か遠い太陽の国に思いを馳せて、今日も一皿焼いてみようか。
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