『料理雑記 その14:ピザを美味しくする映画』
あなたは映画を観るなら映画館に行く派だろうか?
それとも自宅で楽しむ派だろうか?
ちなみに私は断然、自宅で楽しむ派だ。
生来、人の多い場所が苦手なことも理由の1つ。
それに加えて、トイレの度に一時停止したり、聞き逃した台詞を巻き戻したり出来るところも自宅での映画鑑賞の大きな魅力だ。
だがそれにも増して自宅を選ぶ大きなワケがある。
私が自宅で映画を楽しむことは、美味しいピザ作りに欠かせないことなのだ。
…うん、なに言ってるのか意味わからないよね。
ダイジョブヨ、オニイサン。セツメイスルヨー。
いやべつに、名作映画の放つα波的なアトモスフィアが大地のエネルギーに感応して、宇宙のロゴスに従いアセンションした焼きたてのピッツァ・マルゲリータがグレートマザーアースと一体化するとかそーゆー話ではないので安心してほしい。パワーストーンの通販とかもやる予定はないから大丈夫だ。
というか、そんなピザの形をしたスピリチュアル劇物なんぞ、作るのも食べるのも御免蒙りたい。
そう、我が家のピザの秘訣は、胸焼けしそうな霊感ワードのトッピングなどではない。
映画を観ながら時間をかけて丹念に捏ねられたピザ生地こそ、美味しさの要諦なのだ。
はい、そんなわけで今回の料理はピザである。
市販のピザ生地も十分美味しいが、生地から手作りしたピザの味わいは、またひとしおだ。
ただし40分以上は生地を捏ね続ける必要があるため、手作りピザは非常に疲れる&面倒くさい。
だが、適当に捏ねた生地では格段にピザの味が劣る。
美味いピザのためには手は抜けない。とはいえ、ただただ白い塊を捏ね続ける作業は、時に苦痛ですらある。
そこで私の場合、アマゾ◯プライムなどで映画を鑑賞しながらピザ生地を捏ねているわけだ。
大変な作業であるのは変わらないが、気が紛れるだけでも疲労具合はだいぶ違う。
いやまて、映画を楽しみたいのならば、そもそもピザとか関係なく映画を観ればいいのでは、とのご意見もあるだろう。
しかし歳を重ねるにつれ集中が続かなくなるオッサンにとって、2時間を越える映画をぶっ続けで視聴するのはもはや不可能に近い。
ピザ生地を捏ねるという単純作業のおともに楽しむのが、今の私と映画とのちょうど良い距離感なのだろう。
だがしかし、視聴する作品によってはテンションが上がりすぎて予定以上の時間を費やすこともある。
これまでに私が最も熱くピザ生地を捏ねたのは、アンディが2度目の懲罰房を出房してからシワタネホの海岸でレッドと再会するラストシーンまでの時間だ。(注:『ショーシャンクの空に』より)
たしか、1時間以上はピザ生地をノリノリでコネコネしていたと思う。
レッドが手紙を読む場面でノリコネ最高潮。
自分は新しいタイプの変態ではないかと怖くなる。きっと気のせいだ。
さあ、一抹の不安をよそに、元気にレシピを紹介するとしよう。
なお本日紹介するのは我が家での定番2種に留めさせていただく。
~ピザ生地~(直径20cm程度が4枚分)
①大きなボールに強力粉250g、薄力粉50g、塩3g、ドライイースト5gを入れてよく混ぜ、オリーブオイル大さじ1とぬるま湯150mlを少しずつ加えながら菜箸などでゆっくり混ぜていく。
②ある程度粉がまとまってきたら生地をひとまとめにして手で捏ねていく。手で捏ねるのに疲れてきたら清潔な場所に生地を叩きつけてもOK。だいたい10回叩きつけたらひと捏ねして、また叩きつけよう。
③ひたすら捏ねる&叩きつける。だいたい40分くらい無心で続ける。生地が耳たぶくらいの柔らかさになるまで超頑張る。
④ピザ生地に硬く絞った濡れ布巾を被せ、ボールをラップで覆い、室温で2時間放置する。
⑤2時間後、倍くらいの大きさに膨らんだ生地を手で潰しガス抜きする。ガス抜き後も濡れ布巾を被せ、30ぐらい室温で放置する。
⑥4等分して好みの厚さに伸ばし、具を乗せて焼いたら出来上がり。
~ボロネーゼピザ~
①伸ばして形を整えた生地に薄くオリーブオイルとおろしニンニクを塗っていく
②生地にミートソースを乗せ、お好みでベーコン、タマネギ、ナス、キノコ、ピーマン、セミドライトマトなどをトッピング。
③全体にチーズを乗せて熱したオーブンへ。我が家では220℃で10分くらいで焼き上がり。
~テリヤキピザ~
①鶏肉(モモでもムネでも)を1.5cm角くらいに細切れにして少量の塩をもみ、全体に片栗粉をまぶして、やや多めの油をひいたフライパンで焼く。
② ①の肉を皿にとっておき、洗ったフライパンにしょうゆ大さじ2、みりん大さじ1、砂糖大さじ1を入れて熱する。フツフツと泡立ってきたら皿にとっておいた肉を加え、タレにトロミがつくまで弱火で熱する。トッピング用テリヤキチキンの出来上がり。
③伸ばして形を整えた生地に薄くオリーブオイルとおろしニンニクを塗り、②のテリヤキを乗せていく。その他お好みでコーンやスライスゆで卵、キノコなどを乗せる。我が家の定番はテリヤキと舞茸。具材の上から全体にマヨネーズをかけ、熱したオーブンへ。焼き上がったら出来上がり。
お好みとは書いたものの、ピザ生地は可能な限り薄く伸ばすのがオススメだ。
ナポリ風よりはローマ風ピッツァに近いイメージ。
パリパリサクサクと焼き上がった生地と具材の織り成すハーモニーの前には、長時間の生地捏ねの疲れも吹き飛んでしまうこと請け合いである。
合わせる酒はピザのトッピング次第だ。
テリヤキピザをウイスキージンジャーやコークハイのような炭酸系でカジュアルに楽しむなり、軽めのワインとボロネーゼピザでお洒落ブランチを演出するなり、組み合わせは無限大。
あなただけのピザとドリンクの組み合わせを探してみるのも一興だろう。
ピザのトッピングも酒も映画も、素晴らしいものが世に星の数ほどあるのだから。