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ブラフマーの創造:Do It Yourself!~ヴィシュヌからの特別指導
第二巻第九話 四つの句からなるバーガヴァタの原典
聖シュカは語った。
『夢の中で見る対象と夢を見る人が無関係であるように、霊魂(アートマン)は物質を超越し、純粋な意識そのものであり、この世の現象とは主のマーヤーを通じてのみ関係を持ちます。マーヤーは多様な姿を見せるため、アートマンもさまざまな形を持つように見えるのです。その結果、人は物質的な感覚の対象に喜びを見出し、『私』や『私のもの』という思いを育てていくのです。
しかし、ひとたびその妄想を捨て、時の領域とマーヤーを超越するアートマンの栄光(サット:真実•チット:意識•アーナンダ:至福)に喜びを見出せば、人はこれらの誤りを手放し、トリグナ(サットヴァ•ラジャス•タマス)を超越するでしょう。
主がブラフマー神の苦行を賞賛し自らの真の姿を現して、アートマンの本質を悟らせるために授けた真理について、これからお話ししましょう。
三界の最高の教師である太初の神(ブラフマー)は、生まれ出た蓮の上に座り、創造のための瞑想を始めました。しかし、世界を創造するための手がかりが何もなく、未来像を得ることができませんでした。創造の主宰神が深く考え込んでいると、周囲に広がる原因の水(カラナジャラ)の中から、たった一度だけ二音節の言葉が聞こえてきました。それはデーヴァナーガリーの25の子音のうち、16番目の「タ」と21番目の「パ」で構成される言葉が唱えられたのです。ああ、パリークシット王よ、この「タパ」(熱•苦行•浄化)こそ、すべての富を放棄した者の真の財産と呼ばれているものです。
ブラフマー神は聞こえた言葉の主を探し十方位を見回したが、誰の姿も見つけることはできませんでした。そこで彼は再び蓮の上に座り、その言葉を助言と受け止め、苦行を行う決意を固めました。心と呼吸、感覚器官と行為器官を完全に制御し、神々の時間で一千年(36万年)にわたり静かな心で苦行を続けた結果、ブラフマー神は未来像を得て全世界を照らし出しました。
ブラフマー神の苦行に満足した主は、ご自身の住処である最高の世界、ヴァイクンタを示されました。そこには苦しみや迷い、恐れが一切なく、最高の悟りを得た人々が主を讃美する、永遠の至福に満ちた神の国が広がっていました。
ヴァイクンタには、ラジャスやタマス、そしてそれらと混じり合ったサットヴァすら存在せず、純粋なサットヴァだけが満ちています。この世界では、すべてを破壊するカーラ(時)も力を行使できず、マーヤーも影響を及ぼすことがありません。そこに住むハリの従者たちは、神々や悪魔からも崇拝されています。
従者たちは透き通った浅黒い肌、蓮華のような眼、黄色の衣をまとい、優美な姿で非常に魅力的です。四本の腕を持ち身体から輝きを放ち、金の宝飾品や宝石をつけ、また何人かは白い肌をして、輝く耳飾り、王冠、花輪で飾られています。美しい女神シュリー(ラクシュミー)が彼女の化身ら(ブーデーヴィー,リーラーデーヴィー)と共に主の御足を讃美しているのです。
スナンダ、ナンダ、プラバラ、アラナといった主の最高の従者たちが仕えています。主は従者に慈悲を示し、王冠と耳飾り、黄色の衣をまとい、赤い眼と四本の腕を持っています。左胸には、ラクシュミー(女神が永遠に住む場所を)を象徴する金の印「シュリーヴァッツァ」(胸に刻まれた螺旋や渦巻き状の模様)があり、その印で主を見分けることができます。
宇宙の主宰神は、25のシャクティ(プルシャ•プラクリティ•マハットタットヴァ•自我意識•心•10のインドリヤ•5種の微細要素•5種の粗大要素)に囲まれています。そして、六つの神的属性(バガ:支配力•力•名声•富•知識•離欲)を備え、最高の席に座しています。
主の姿を見たブラフマー神は、溢れる愛の思いに涙がとめどなく流れ、パラマハンサの道を歩む者が獲得できる主の御足に、深く礼を捧げました。
バガヴァーン(バガを持つ者)は創造の命令を待ち望むブラフマー神の手を取り、こう語りました。『全ヴェーダの知識を身につけ、長く厳しい苦行を続けてきたことに満足している。さあ、望む恩寵を求めなさい。魂による努力は必ず報われるものだ。私の命令を聞き、ただひとりで水上の苦行を成し遂げたあなたにヴァイクンタを見せたのはその証だ。あの時、創造の道を理解できなかったあなたに『苦行せよ』と命じたのもそのためである。苦行こそ私の心そのものであり、私は苦行の魂である。この宇宙を創造し、維持し、吸収するすべてが苦行によるのだ。私の力は、なしがたい苦行の中にこそ存在するのだ』
ブラフマー神は言いました。『あなたはすべての生き物の心に目撃者として宿り、私の意図もすべてご存知です。どうか、あなたの絶対的かつ相対的な姿を目にする恩寵をお与えください。
多様な力であるマーヤーを用いて、宇宙という多様な姿にご自身を顕し、それを維持し消滅させる遊戯を続けておられます。その仕組みを見通せる眼をお与えください。
どうか私が疲れることなく、あなたの御業(宇宙創造)を遂行できますように。そして、それに執着することがありませんように。
生き物を創造し、あなたに奉仕する間、再生を免れた者(輪廻のサイクルを超越し特権的な状態)として驕ることなく、迷うことなく正確にジーヴァを分類(魂や生命体の性質や役割によって適切に配置すること)できますように』
バガヴァーンはこう言いました。『今から最も秘奥な知識を伝えよう。それは、私についての悟り、バクティの真実、そしてそれに関わるすべてである。私の偉大さ、本質、多くの姿に顕れる私の美徳や行いの真実を、あなたは知ることができるであろう。
創造の前、私はただ一つ、絶対的な存在として在った。粗大でも微細でもないもの、そしてそれらの原因であるプラクリティ(存在原理)さえ存在していなかった。創造の後、私は現象世界として現れ、消滅の時にも変わらず存在し続けるのだ。
説明できない現象や、私の存在の中で起こるすべてのこと、またラーフ(月が太陽の軌道と交差し日食を起こす位置•影の惑星)のように私の存在を覆い隠すもの、これらはすべて私のマーヤー(力)によって起こるものと考えるべきである。
私は、被造物が創られた後、その身体にアートマンとして宿ったとされる。しかし、アートマンである私以外、この宇宙には何ひとつ存在しないのだ。
アートマンの真実を知ろうとする者は、すべてを「これではない」(ネティ•ネティ)と否定する方法、または「それである」(タット•トヴァム•アシ)と肯定する方法によって、ただその実在だけを追求すべきである。
これらの教えを心に刻み、心を完全に制御し、自分を確立しなさい。そうすれば、どれほど多くのカルパで多様な生命を創造しようとも、決して惑わされることはないだろう』
聖シュカは語った。「シュリー・ハリは全被造物の支配者であるブラフマー神を諭した後、姿を消しました。その後、宇宙の創造を任されたブラフマー神は、再び創造を続けました。そして、創造の主でありダルマの守護者である彼は、全被造物に幸福をもたらすため、禁戒(ヤマ:守るべき五つの道徳的原則)と戒律(ニヤマ:五つの自己戒律)を実行し、多様な存在を創り出していきました。
修行を続ける中で、ブラフマー神の最愛の息子である神仙ナーラダは、バガヴァーン・ヴィシュヌのマーヤーについて知りたい一心で父に仕え、その忠実さでブラフマー神を喜ばせました。父の喜ぶ姿を見たナーラダは、あなた(パリークシット)が尋ねたのと同じ質問を投げかけました。その質問に喜んだ創造者ブラフマー神は、主から教えられた十の特徴を持つこのバーガヴァタ・プラーナを息子ナーラダに伝授したのです。
ああ、王よ、ナーラダ仙が、その同じ物語をサラスワティー河の岸辺で至上のブラフマンを瞑想していた我が父(聖仙ヴィヤーサ)に伝えました。
さあ、今から私(聖シュカ)は、あなたの質問に答えるため、このバーガヴァタ・プラーナ(ヴィヤーサ編纂)を通じて、主の宇宙体ヴィラート・プルシャからこの宇宙がどのように発生したのかをお話ししましょう」
※※※
あらあら、ますます面白くなってきましたね!ヴィシュヌが語る「苦行こそ私の心そのものであり、私は苦行の魂である」という言葉を読んで、今まで理解できなかった部分に突然光が差し込んだような気がしました。
さて、苦行は単なる「苦しみ」ではなく、自己成長を促し、内的な力や純粋さを高めるための重要な過程です。要するに、うちなるパワーを引き出し、純粋さを育むために不可欠だということ。ヴィシュヌが言うように、苦行そのものが神の本質的な活動だなんて、驚きですね。
重要なポイントは、ヴィシュヌが宇宙創造の際、苦行を通じてエネルギーを供給し、宇宙の調和や秩序を保っていること。この理解が深まると、「タパスのない人生はもったいない!」と思わずにはいられません。ですから、このタパスを何に向けるかが重要。自分のエネルギーをどこに注ぐか、その方向性が大切ですね。