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悲しみからとったダシがこれほどうまいとは 連載⑨
高校生のとき、アニメのワ〇ピースが自分の中でかなり流行っていた。
(世間的にもかなり流行っていた…ん?今も流行っているか)
私は特にサ〇ジくんとロ〇ンちゃんが好きで、二人の二次創作をマンガや小説で書いていた。
そう、書いていた。
書いていたのだ。
ただの二次創作ならまだマシだろう。
私が書いていたのは、二次創作は二次創作でも、エロい方の二次創作だった。
だけど、エロい二次創作なんて他の誰かも、かなり書いていたため、そこまで特筆することではない、とこれを読んでくれている人は思うかもしれない。
だが、私が書いていたエロい二次創作はエロい二次創作でも、ただのエロではなく、スカトロの二次創作だった。
当時、私は鳥〇みゆきにかなりハマっていて、彼女のネット番組「社交辞令でハイタッチ」をよく見ていた。
その番組の中で彼女は「スカトロを見るのが好き」と言っていた。
その発言により私はスカトロに興味を持ち、ネットなどで見漁っていた。
スカトロを見始めるとかなりきわどいものもあり、大抵のものはNGであったが、尿などの比較的きわどくないものは楽しんで見られたため、その頃から私はスカトロを喜んで見ていた。
そこから、悲劇ははじまる。
私の高校はギャル男か、ギャルか、オタクしかいなかった。
どこにも属せていない場外な私でも、オタクの友だちは少しはいて、彼女たちが話すバ〇ラ(戦国武将たちのバトルゲーム)などの話にどうにかついていけた。
そんな彼女たちの間でもワ〇ピースの二次創作はかなり流行っていて、私も彼女たちの二次創作をたまに読ませてもらっていた。
そう、読ませてもらっていた。
読ませてもらっていたのだ。
彼女たちの二次創作はBLが多く、私としてはこれが許されるのであれば、私のスカトロも許されるであろうとたかをくくっていた。
しかし、読ませてもらっていたのなら、理解するべきであったのだ。
彼女たちのBLはどちらかといえば女性向けのエロで、私が観ていたスカトロではないということを。
その頃、私は頻繁にあるひとつの動画をかなり観ていた。
それは男性が女性の口に尿を放出する動画だった。
その動画をかなり良いなと思っていた私はその描写を小説にした。
そして、事もあろうにみんなに見せようと学校に持っていたのである。
次の日の放課後、クラスの隅っこで二次創作の会がまた行われていた。
私はこれで今日から場外ではなく、オタクの枠に入れると息勇んでその会に乗り込んだ。
「私も二次創作書いて持って来たんだけど、読んでくれる?」
私がそう言うと、友達は笑って「いいよ」と言ってくれた。
そして私は彼女に自分の二次創作を渡した。
そこからが地獄である。
最初微笑んでくれていた彼女の顔は徐々に強張っていった。
彼女の頭の中にはたぶん「?」がたくさん浮かんでいただろう。
彼女は読み終えて言った。
「ん?」と。
私も返した。
「ん?」と。
彼女は今度は違う言葉を発した。
「え?」
私も返した。
「え?」と。
「これは…」と彼女は言って私に二次創作の小説を返してくれた。
「うん、面白かった」
彼女はそう言った。
私はうれしくなって「ほんと?うれしい!」と言った。
そしてそのあとの彼女の言葉に息が吸えなくなった。
「これは、他の人には見せない方がいいと思う」
そう言われた瞬間、何が何だか分からなかった。
「ちょっと…というかすごく気持ち悪い」
と言われ、自分がとんでもないことをしたのだと気付いた。
その次の日から私がオタクのみんなからも遠ざけられるようになったのは言うまでもない。