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彼は天使か神様か

少し前、中途半端に伸びた髪をスッキリ切るためいつも行っている美容院へ行った時のこと。
カラーリング後の私にアシスタントくんが通りがかりに「今日のワンピースすごく素敵です。入って来た時からそれを伝えたくて」
このアシスタントくんは数年前からこの美容院にいて当時はまだ10代だったはず、細身の、急にボクお爺ちゃんが大好きでなんて話し出すおじいちゃん子。今はちょび髭をはやし、いかちぃ見た目になったけどいまだにこの前おじいちゃんと旅行に行ってなんて言ってる優しい子。
「なんと〜!素敵だなんて、そんな素敵なこと言ってくれるの?」と返したら「素敵をいただいたので素敵を返したくて」
なにこの子、天使なの??なんて思って思い出しただいぶ前に街で出会った神様の話。

もう15年ぐらい前の話だと思う。
東京の私鉄、地元の駅で降りた時にデパートの袋を両手に持った80代と思しきおばあさんに、ここはどこかしら?と声をかけられた。
私は年がら年中人に道を聞かれる特性を持っている。その私も、駅のホームでここはどこ?は初の質問だった。◯◯◯駅に行きたいの。同じ電車から降りて来たと思われるお婆さん、◯◯◯駅は通り過ぎてしまっている。
お婆さん曰く、地元なのにちょっとわからなくなってしまったのだそう。
お、もしかしたらちょっと大変かも、と思いつつとりあえず荷物を受け取って一緒にホームに向かうことにした。
◯◯◯駅向きホームには一度改札階に降りてまた向かいのホームにあがらないといけない、そして駅にはエスカレーターがないので、お婆さんの足への負担が心配になった。荷物を持ってお婆さんを支えていけるかしらと少し不安になったその時、
私の受け取った荷物を後ろからさっと受け取った青年がいた。ボクが荷物もつんで、お姉さんはお婆さんと一緒に歩いてくださいと。イカすな、青年。
お婆さんを2人でガードする感じで階段を下り登り、◯◯◯行きの電車を待つ間。
感激してくださるお婆さん、しばしお婆さんの日常のお話などを聞き、ほんとは2人をお食事招待したいけど今日は一日病院や買い物で疲れていて
、せめてこれをと買い物の袋から可愛い小箱入りのおはじき飴を2人にくださった。
また会えるかしら、というお婆さんにその青年は今もらったばかりのおはじき飴をバリバリ噛み砕きながら今日会えたんすからまた会えますよ、と。
なんだその返しは、最高か。
その時は絶対日本育ちじゃないな、と思ったけど。電車が来る前にその青年はじゃあボクは行きますね、また、と去っていった。

いまだに捨てられず持ってるおはじき飴の小箱。お婆さんは幸せにお元気だったか。
突然サッと現れてガリッと食べてニッと笑って去っていったあの青年、あの青年は神様だったのじゃないかな、とふんわり思っている。


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