研の會《摂州合邦辻》右近丈の玉手御前の感想:存在理由を見つけた女性
第八回《研の會》の、昨日の夜の部の右近丈の玉手御前に強く感じたのは、それゆえにわたしが思いがけず悲しみに突き落とされたのは、凄まじいまでに確固たる、自己肯定感の低さであった。
前半の玉手御前は、時々面をクモラス際に裏の思惑をちらりと見せつつも(※その点、モドリに及ぶまで徹底して本心を隠し通して見えた菊丈玉手より“わかりやすさ”があったと思う。嫉妬の乱行に及ぶ直前に、覚悟を決めたように小さく頷く動きも、菊丈の玉手には無かった気がする)、艶やかな女性美を、芝居としては観客に、物