こぐま座のこと
1週間前だろうか。
朝目覚め、まどろみの中、直近で見た夢についてウジウジと考え込んでしまった。
ウジウジというわけでもないか。
夢の中に出てきた情景がとても懐かしく、おそらくは過去に見たものが記憶の奥から呼び起こされたものなのだろうと思い、ベッドの中で横臥した状態で、うんうんと考え、不意に「こぐま座」という単語が頭に浮かんだ。
「人形劇こぐま座」
確か、幼稚園で観劇した記憶が微かにある。
劇を見たあとに劇団員のお兄さんお姉さん方との交流もあったと思う。
ほとんど記憶に残っていないのだが、何か痛烈に胸に刻まれた気持ちの昂りがあったのだろう。
その後、その人形劇について何度も夢に見た気がする。
幼稚園を卒園後、小学生低学年の頃だったと思うのだが、劇団のお兄さんから手紙と人形劇の招待状が届いた。
まさか自分のことを覚えているなんて思っていなかった当時の私はとても感激したのだろう。
そのことも、その後何度となく夢に見た。
どこかの公園に行き、人形劇を見に行くという夢を少年の頃だけではなく、20代になっても繰り返し見た。
その公園はどこだったのか、そもそも人形劇団は「こぐま座」で合っているのか、ベッドの中でGoogle検索すると、すぐにヒットした。
こぐま座は札幌市中央区の中島公園に今もあった。
それを知って胸がギュッと締め付けられた。
幼稚園児であったのは今から何年前だろうか。
小学生低学年の時に招待状を貰って中島公園まで観に行ったのは何年前だろうか。
あの時のことはもう何も覚えてはいない。
なのに未だに夢に見る。
夢に見るのだが、目が覚めるとその内容が判然としない。
そのもどかしい気持ちがやりきれなさとなり、漠然とした不安感に襲われる。
あの時のお兄さんはもうお兄さんと呼べる年齢ではないだろう。
そう思うと強烈なさみしさを感じる。
そういえば、中島公園で見た人形劇に魅入られ、自分も将来そのようなことをやりたいと願望したような気がする。
それは確かな思い出ではない。
思い返してみて、そのような気を起こしたような記憶があるようなないような。
なんともいえない。