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エゴとミッションは円球形
良かれと思ってやっていたことが、かえって人を不幸せにすることってよくありますよね。
逆に、バリバリに自分本位でやっていたことが、結果としてプラスをもたらすこともあったり。
まあ、早い話、物事は思った通りに運ばないということです。
これって、あれだ、円球形になってるからなのではないでしょうか。
例えば、日本から北へ向かうとどこに行き着くでしょうか?
ロシアへ行き、そして北極へと到達します。
でも、そのままさらに進むと、北を目指しているつもりが、いつの間にか南下することになるんですよね。札幌雪まつりを見に北へ向かったはずが、いつの間にかリオのサンバカーニバルを(厳密に言うと日本の裏側がブラジルではない)見ているといった不思議なことが起こるんです。
これを図解したらこんな感じですね。
中心点からどこを目指すのか。
A 利己的で人を不幸せにする(左下)
分かりやすいのは「詐欺」です。極めて利己的で、人のお金を騙し取る行為です。
これは明らかな悪なので、「そんなつもりはなかった」とはなり得ないので分かりやすい。
B 利他的なつもりが人を不幸せにする(右下)
これは企業であるあるです。
例えば、昔、くら寿司が「食の戦前回帰」というミッションに従い、添加物を使わないラーメン店を直営で1店舗だけ経営していました。
でも、数年ともたず店は閉めたらしい。
もれ聞くところによると、その主な理由は
マズイ
だったそう。
例え健康的でもマズイラーメンは誰も幸せにはしないですよね。
C 利己的で人を幸せにする(左上)
エゴイスティックに突き進んだ結果、意外とwin-winが成立しているようなシーンです。
これは実体験ですが、前職で僕は極めてエゴイスティックにやっていました。
今から12年前の1月3日、僕は全国1位の売上にすべく燃えていました。満席でウェイティングが常態化している店舗同士において、他店を出し抜くには時間帯売上を上げるしか方法がありません。僕にとって、「お客様のために」みたいな考えはぶっちゃけなく、時間帯売上を限界突破する勢いで数字を取りに行っていました。
でも、結局、時間帯売上を上げるということはすなわち、鮮度の高い商品を流しまくって、フロアを回しまくって回転率を上げることです。でも、これって結果的にお客さんの待ち時間を減らしたり、より鮮度の高い美味しい商品を提供することになるんです。
D 利他的で人を幸せにする(右上)
ミッションに従い、世のため人のためを想い、行動するマインドセットです。
言わば、マザーテレサ思考です。
世の中が成熟していきているので、ここに位置しない企業や人は淘汰されていく時代になってきています。
拙著「ミッションドリブン」でも紹介しましたが、スターバックス、パタゴニア、ボディショップといった企業は、売上を犠牲にしてでも世界を良くしていくビジネスを実行しています。(詳しくはググってください)
円球形の落とし穴
冒頭にお伝えした通り、他人を幸せにしようと、ミッションに従い、行動しているうちに、いつの間にか極点を超えて、エゴ側へ行っていることって多いと思います。
僕自身、学校現場でそんなことをたくさんしてしまったことを反省しています。
学校の効率化を進めようと旧態依然な在り方を前の職場で公然と批判し顰蹙を買ったり、子ども達の自律を促そうと発達段階を考えずに実践を取り入れようとしたり。
そう、いつの間にかグルッと反対側に行ってしまってしまうのです。
そういったことがないように、自分が今、円球上のどこにいるのかを、僕は定期的に見つめ直していきたいと思います。
くら寿司ラーメンにならないように。