2022/3/14自由連句「春の鳥」の巻
自由連句はだれがどう付けてもよい、と再定義する。そして付句が複数ある場合、そこからふらくた連句としてその句および直前の575を発句として、新しい枝とする。ひとまず歌仙(36句)。いきおいによって、長くなることあり。よってらっしゃいみてらっしゃい。そしてやってらっしゃい。
「春の鳥」の巻
1 春の鳥 われに戻ってこぬ一羽 てるや
2 異国の地にも告げることあり よう
3 伝令は命からがら喉からから てるや
4 ふらここからの眺めふらふら よう
月 見えぬ部分の月の昏(くら)さをみる癖よ てるや
6 バナナ愛する人を愛する よう
7 リノリウムのつるつるに君がぶら下がる てるや
8 健康器具をポチる真夜中 よう
恋 会長の文字化け以前恋未満 朱夏
恋 PDFで添付する愛 多実果
11 毒ありて夾竹桃を贈ります てるや
花 知らぬが仏、言わぬが花よ 多実果
13 夕食を多弁な皿に盛り付ける よう
14 戦火なき世のなきことなどを 朱夏
15 うぐいすよ今年のわれはやさしいか てるや
16 ポッケにつめるまあるい小石 よう
17 千年後新解釈を生む歴史 多実果
18 お日さまの光は変わらずに ほのか
19 泣いたって春は自由に終わるじゃん 朱夏 →ふらくた連句
20 あさりを鍋でぐつぐつ煮込め よう
21 モブでなく隠し味だと今知った てるや
22 達筆過ぎて自分も読めぬ てるや
23 こっそりと醤油に混ぜる惚れ薬 よう
24 醒めないうちに消せないことを 多実果
25 かの人とスープの冷めぬ距離にいて ほのか
月 月夜に鳩の往復書簡 よう
花 空耳じゃなかった花の開く音 多実果
28 媚薬のようにつける香水 よう
29 横顔の原子がぜんぶきらめくよ てるや
30 ハッピーターンの粉振り撒いて 多実果
31 妖精の王が夜明けに帰宅する よう
32 風は感染経路、すべての 朱夏
33 お注射が痛くないのに驚いて ほのか
34 鋼の肌を磨くロボット よう
花 花いちまいスマホのうえに湿りたり てるや
36 名残惜しさに降る雪かもね 多実果
てるや……山月亭てるや
よう……海月漂
朱夏……袴田朱夏
多実果……寿々多実果
ほのか……小澤ほのか
お疲れさまでした。17、18の、変化と不変の掛け合いはとてもすばらしいです。新型COVIDの蔓延にも、このフリータイプの連句で立ち向かいました(ふらくた連句と云ふ事)。今も続く疫病、地震、戦争の、対極かもしれない小さい言葉の連帯が大事だって、たしかSDGsにも書いてあります。あ、書いてない。了解。楽しい時間でした。それでも、考えてしまうものです。
戦火なき世のなきことなどを 朱夏