けさのまにえふしふ79

里遠み恋ひうらぶれぬ真澄鏡(まそかがみ)床(とこ)の辺(へ)去らず夢(いめ)に見えこそ(11-2501)

 里遠 眷浦經 真鏡 床重不去 夢所見与

けさのまにえふ。「あなたの里が遠いので恋に心がしなえてしまった。真澄鏡のように、いつも床のべの夢に見えてほしい」

寄物陳思。なんか素直でいい歌よね。遠距離恋愛ちょっとつかれるわっていう。ふつう恋の歌っていうのは、逆じゃん? 距離なんておれの思いに比べたら(大したことない)、という。

下の句はちょっと訳にブレがあって「真澄鏡が夢に君を出してくれたら」という呪術と、上の、肌身放さない真澄鏡みたいに君が夢に出てくれたら、という生活感。寄物陳思でいうと、生活感を選びたい。

真澄鏡。まそ、ますみは、よく磨いた鏡。鏡って不思議だったろうね。当時は銅鏡だったろうから、かがみの語源どおり、かげみ(影見)、そのまま映るのでなく、何が別のレイヤが映っているようにみえたに違いない。 

のちに歴史書に○○鏡って付ける日本のセンスもまた、いいよね。過去を"影見"る感覚。

照屋へんかん。

端末の通話に君が映りいて本音はブロックノイズのように(照屋conv.)

(20161117) 

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