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ネコクインテット【毎週ショートショートnote】※1日遅れ
都内某所でスーパー戦隊シリーズ「弦楽戦隊ネコクインテット(仮)」の5人目を決める最終オーディションが行われていた。
「では自己アピールをお願いします」
「私は自然環境保全について、高い関心と意識を持っています!」
「エコ!」
「僕は弱い力で重たいものを動かす、そういう役割を担いたいです」
「テコ!」
「わしゃこう見えて一滴も呑めないんじゃ。迷惑だけはかけんぞ!」
「ゲコ!」
「わたしの三日月は
2次会デミグラスソース【ショートショートnote】
宇宙ハンバーグ会。各星から選ばれし代表者が集っていた。
「オリーブオイル湯の準備ができました」
料理人として呼ばれていた地球人の宣言にハンバーグ星人がほくそ笑む。
「2次会参加者だけ入れ」
入ったのは玉葱星人、人参星人、セロリ星人。ブイヨンキューブを噛りながら、赤ワインを嗜む。
「最高だ」
「少し熱いね」
「水を足そう」
3人の表情はとろりとしている。
「やはりデキあがるのは2次会よな。今
逆さ富士七転八倒【毎週ショートショートnote】
日本一美しい逆さ富士が拝めるという地で、僕は立ち尽くしていた。逆さ富士が見えない。
「なんで?」
「くっくっく」
背後から薄気味悪い笑い声。振り返ると仙人のような老人が立っていた。
「そう簡単に拝めるわけなかろう。自ら切り拓くのじゃ」
早朝からここまで来てそそくさと帰る選択肢はない。意地でも逆さ富士を拝んでやる。
夜が明けようとしていた。丸一日這いずり回った僕は全身傷だらけになっていた。
宝くじ魔法学校【毎週ショートショートnote】
卒業すれば【魔法使い】としての地位と名声が得られるロッタリー魔法学校。年齢制限、入学試験なし、入学金は300円。老若男女幅広い世代から絶大なる人気を博している学校だ。
『送信済みの入学認証QRコードを表示のうえ、端末を宙におかざし下さい』
本日は入学式。指定された場所は、あたり一面なにもなかった。
私はどこからともなく流れてきた電子音声の言う通り、スマホをかざす。
『認証完了。ゲートが
サラダバス【毎週ショートショートnote】
現場にはダイイング・メッセージが残されていた。ふたりの刑事が解読を試みる。
「字、汚いですね」
「達筆なダイイング・メッセージも嫌だろう」
「そうですか? で、なんと書いて?」
「サ、ラ、ダ、バ、ス……だな」
「サラダバス? なんですかね?」
「マダバ地図、みたいなものじゃないか?」
「マダ……?」
「マダバ地図だ」
「何ですか、それ」
「ググれ」
「カス!」
「誰に言ってんだ!」
そこに
カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】
街でデイリーヤマザキ怪人が暴れていた。そこに街の平和を守る戦隊ヒーローがやってきた。
「セブンイレブン・レッド!」
「ローソン・ブルー!」
「ファミリーマート・グリーン!」
「ミニストップ・イエロー!」
「セイコーマート・オレンジ!」
『社会インフラ戦隊・コンビニレンジャー!』
デイリーヤマザキ怪人は、怪人役にまわされた恨みを晴らすべく、ネチネチと五人を追い詰めていく。思わぬ苦戦に五人は自
涙鉛筆【毎週ショートショートnote】
人間は、鉛筆だ。
これはディスイズペンソー師匠の言葉である。師匠は鉛筆教の教祖だ。
「どういう事ですか?」
「君たちは若い。つまり頭が柔らかく、生み出すものは非常に濃い」
「良い事では?」
「それは芯の柔らかさを表している。その柔らかさは時にブレる。つまり未熟という事だ」
師匠が手でくるっくる回していた鉛筆を握り直すと、私たちに先端を向けた。
「良いか? 濃さ、というものは時に線を誤
ショートショート王様【毎週ショートショートnote】
ここはショートショート王国。ショートショートで溢れた国だ。そんなショートショート王国がショートショートに侵された。ショートショートウイルスによるショートショート症である。
ショートショート症で面倒臭いのは、もともとショートだったものだ。ショートケーキはショートショートショートケーキに、ショートヘアはショートショートショートヘアになる。
「ふん、まだショートショートショートなど可愛いわ」
動かないボーナス【毎週ショートショートnote】
某所で四者会談が行われていた。
「ボーナスありは一位だけだ」
「どうも」
「二位じゃダメなんすか!」
「一位は不動ですもんねぇ」
「それなりの理由があるのだよ」
「まぁね」
「頭四角いじゃないすか!」
「でも柔らかいんですよねぇ」
「この界隈は世知辛いからな」
「ヒーヒーね」
「二位じゃダメなんすか!」
「不動の二位ですもんねぇ。でも、それはそれで凄い事では?」
「確かに」
「安定していますよ
サルのイラスト【2021年1月】
1月に描いたイラストまとめ。
その① 謹賀新年 (SASASA POP)
その② A HAPPY NEW YEAR (ベリちゃん)
その③ ことのは もも
その④ モーさささ
その⑤ たけながーでぃあん (New ver.)
その⑥ マーさささン (2021 ver.)
その⑦ はくさささ
インスタでイラスト置場アカウント作りました。https://www.instagram.
サルのショートショート3【とある機長の航空日誌】
今にも潰れそうな古本屋で、古びた一冊のノートを見つけた。
表紙には「機長の航空日誌」と丁寧な文字で書かれている。パイロットを夢見ていた時期のある僕はワクワクしながら、そのノートを開いた。
4月10日「始動の日」
はじめまして、機長です。本日、初フライトであります。緊張しますね。このノートには私の飛行記録を記帳していこうと思います。それでは宜しくお願いします。
7月16日「七色の輝き」
サルのショートショート2【イカの宅配便】
玄関のチャイムがなった。
ちょうど外出しようとしていたところで、玄関にいた僕は何の確認もせずにドアを開けた。
「宅急便でーす」
目の前には真っ白で、いかつい姿をした異形の者が立っていた。頭は尖っている。荷物を持っている触手的なものが複数本、ウネウネしていた。
「う、宇宙人?」
「宇宙人とは失礼ですね」人間の言葉を巧みに操り、その者は言った。
「私はイカです。それ以上でも以下でもございません」
サルのエッセイ4【SUPER BLUE BLOOD MOON】
スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン。
漫画やアニメ、ゲームキャラクターの必殺技ではない。れっきとした天体現象である。
しかもただの天体現象ではない。スーパームーン、ブルームーン、ブラッドムーン、月に関する三つの珍しい現象が同時に起きる珍しい天体現象なのだ。
この際、必殺技でも良いかもしれない。
「くらえ! 天体必殺・スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン!」
すみません。脱線しました。