妄想なんだけどさ…
初めて月が綺麗ですねを生み出した人。夏目漱石。
I love youを日本語訳し晩年使われてきたこの言葉。
果たして、生み出した当初に言われた人には愛が伝わったのだろうか。
…………
ある大正時代の夜。平屋と平屋の間で二人の男女が月を見ていた。目の前に広がる大きな月。
思わず見惚れてしまうほどの立派なその月の横で男は月なんかよりも女に見惚れていた。
この気持ち、直接伝えるには少し恥ずかしい。
そうだ!以前読んだ本に漱石先生が書いていたあの言葉で伝えてみよう。
男「月が綺麗ですね」
女「はい。すごく綺麗です。」
男は思った。この気持ちが伝わった。何なら返事も帰ってきた。やったぁ!
でも待てよ。彼女は月を見て返事をした。果たして伝わっていたのだろうか。
ー次の日ー
男「昨日月が綺麗ですねって言ったでしょ。あれどういう意味か分かる?」
女「馬鹿にしないでくださいよ。月が綺麗というそのままの意味でしょう。私が日本語が分からないとでも言いたいのですか?」
男「あー、伝わってない!」
女「?」
男「あれは俺からの愛の言葉だよ」
女「はい?あれが愛の言葉ですって?分かりにくい!変な飾りをするより私は直接的に言っていただいたほうが嬉しかったです。」
男「お前は漱石先生の文学的センスが分からんのか!」
女「漱石先生?あーまどろっこしい!そんなのよりね、直接言葉にしたほうが気持ちは伝わるんですよ!」
男「偉そうに!お前に文学の何が分かる!」
ガッシャーンガラガラ
……………
って事にならなかったのか。
まあ妄想なんだけどさ……
皆さんの明日がより良い一日になりますように