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開発コンサルタントのお話し(キャリア編・前編)

キャリア編・後編実務編・前編実務編・後編も公開しました!)

皆様こんにちは。副代表の川崎です。

ゆるふわ日記のバトンが回ってきたタイミングなのですが、今回から、少しゆるふわ日記から離れて、国際協力キャリアの枠で記事を書こうと思っています。

これまで当団体のブログでは国際協力にご関心ある皆様に向けて、国際協力キャリアとして、国際機関やNGO、大学院への留学や勉強についての発信を行っておりました。有料記事ながら、大変多くの方にご購読いただき、ありがたく思うと共に、関心の高さを感じております。

ところで、国際協力のキャリアというのはとても多様で、当団体の理事を眺めてみても、様々です。
国連職員、国際NGO、シンクタンク、民間コンサルタント、政府系金融機関、官僚、大学教員。インターンも入れれば、二国間援助機関(日本でいえばJICA)職員、グローバル企業、青年海外協力隊、UNボランティア、等々、皆「国際協力」やっています。他にも様々な職種で、国際協力に関わるチャンスは多くあります。

今回は、この中で「開発コンサルタント」と呼ばれる職種についてのご紹介をしたいと思っています。
最初は開発コンサルタントのキャリアについて、続いてJICAのODA事業を例に開発コンサルタントがどうかかわっていくのか、というあたりを書こうと考えています。

なお、この記事は、筆者の個人的な経験と理解に基づくもので、筆者の属する団体や、登場する団体等の公式な見解や説明ではありません。あくまで読み物として、参考まで、受け取っていただければ幸いです。

(トップの写真は、廊下にまでベッドがあふれる国立病院の様子)

(1)開発コンサルタントってどんな仕事?

開発コンサルタントというのは、私は自称だと思っています。
というのも、例えば何かのアンケートとかで職業・職種を選ぶときに、まず「開発コンサルタント」っていう選択肢に出会ったことがないからです。

というわけで、定義も何も自己流にはなるのですが、私自身は「開発途上国をフィールドに、開発課題を対象とした事業等に、専門性をもって取り組むコンサルタント」というような感じで考えています。
「開発途上国をフィールドに」ってのは、おそらく最も根本的な定義だと思います。コンサルタントと名がつく会社や職種は山ほどありますが、先進国の大企業向けにサービスを提供している仕事とはやはり異なります。
次に「開発課題を対象とした事業」というのもポイントで、開発途上国であっても様々なビジネスや生業があるわけですが、その中でも特に人々の生活を考えた時に足りていないところを補うような事業を対象としているというところかと思います。
また、「専門性」という言葉でうまく表せているのかわからないのですが、開発コンサルタントの業界って専門性に分かれていて、何でもかんでもできる人ってのはほとんどなく、保健医療なら保健医療、教育なら教育とそのセクターでマニアックなまで相当な知識と経験を積んでいくことが求められるように思います。

なんてことを書いてきましたが、こちらのECFA(海外コンサルタンツ協会)の説明を読んでいただくとより丁寧に多面的な説明が書かれておりますので、わかりやすいかと思います。

ちなみにですが、開発コンサルタントといわれる会社・個人であっても、上の定義に当てはまらない仕事をすることは沢山あります。開発途上国を対象にはしつつも、例えば富裕層向けの病院の投資事業をコンサルティングする、というような場合ですね。使う知識や経験は同じなのですが、こういう仕事を担当するときは、自分なりに頭の中を切り替えて取り組むようにしています。

(2)開発コンサルタントになるには

開発コンサルタントになるには、開発コンサルタントの会社(開発コンサルティング企業)に就職することが一つです。ですが、これが結構難関。なぜなら多くの開発コンサルティング企業が新卒採用を行っていないからです。
新卒採用の枠がある会社も、概ね何かしらの専門性を最初から持っている学生を期待していることがほとんどです。(例えば、土木や建築系の学位、保健や医療の学位など。特に修士以上を歓迎としている募集要項を多く見ます)
そのため、多くの会社が経験者採用として中途入社に力を置いているのが実情です。
一方、新卒を採用している企業もありますが、新卒の場合、現場に出て活躍できるようになるには、数年(短くて3年、通常8年)の経験が必要というのが実態です。これは、また次回に触れますが、開発コンサルタントが主にクライアントとするJICA事業における基準によるところがあります。

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