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パリ、モンテーニュ通り。美が生まれる場所『オートクチュール』②
クリスチャン・ディオールの歴史と特徴
引退を目前に控えた孤高のお針子と後代に暮らす移民Ⅱ世の少女の物語「オートクチュール」では、舞台背景であるクリスチャンディオールの幻のドレスや貴重なスケッチ画なども登場します。
クリスチャンディオールというメゾンについて少し知っておくとより映画をお楽しみいただけるかもしれません。
クリスチャンディオールは1946年デザイナークリスチャンディオールがフランスで創設したフランス・モードを代表するオートクチュールメゾン。
「チューリップライン」や「Hライン」「Yライン」、「ニュールック」の別名で呼ばれる8の数字のように細く絞ったウエストと布をふんだんに使用したふわりと広がるフレアスカートの「コロール(花冠)ライン」なども美しいコレクションの数々は、ファッションに興味のない人が見てもなんとなく見覚えがあるような気になります。
ディオールの生み出したこの数々のドレスのラインは私たちの日常身に纏うワードローブにもその面影は現れていますし、女性画や他の美術作品にもその影響を感じ取ることができます。
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芸術を愛し実益よりも女性の美しさの理想をどこまでも追求したディオールのデザインは「本物のエレガンスを身にまとう貴婦人のためのドレス」であり、斬新でありながらもエレガントなかつての時代へ回帰しようとするその姿勢は、彼の少し前から活躍していたコルセットや長く動きづらいスカートから当時の現代女性の解放を目指すココ・シャネルと真逆の立ち位置にありました。戦時中の物資不足の中での布をふんだんに使う美しく広がるフレアスカートは称賛と物議を生み社会問題となるなど、ディオールのコレクションは、生き残るために合理性と効率を重視し色を失ったフランスにとって鮮やかさに目が眩むほどだったと思います。
その眩むような光でもってまさに「モード界の革命」の旋風を起こしながらクリスチャンディオールは長くファッション界に君臨しています。
映画のストーリーの背後にはディオールの美への信奉が広がっているのをどうぞ、ご覧になられてみてください。
映画『オートクチュール』にあわせて、偉大なデザイナーの軌跡に迫るシリーズ
『VOGUE ON クリスチャン・ディオール』書籍も発売中!
当時の一流フォトグラファー&イラストレーターによるコレクション画像、雑誌、ディオール自身のポートレートなど、VOGUE独自のカラー写真満載!眺めるだけで優雅な気分になれる1冊です。
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本文も大変興味深い内容となっています。世界大恐慌に戦争・・・20世紀激動の時代を生き、『エレガントとは何か?』生涯探求しつづけたディオール。女性の服に革命を起こしたと言われる彼ですが、必ずしも称賛されるばかりではありませんでした。
それでも美への信念を貫き、時に衝突し、ひとつの世界を作り上げたディオール。デザイナーでありながら鋭いビジネスセンスもあった彼は、今日のマーケティング戦略の先駆けでもありました。そんなディオールの生き方は、混沌とした今の時代の参考にもなるのではないでしょうか。鋭い観察眼とユーモアにあふれたディオール語録も満載です!
何より、素敵な写真は見るだけで幸せな気分になります。
ぜひお手元に置いて、彼の美の世界に触れてみてください。
VOGUE ON クリスチャン・ディオール 2400円+消費税
http://www.gaiajapan.co.jp/books/ethno/fashion/664/
お部屋に飾っても映える1冊です♪
『オートクチュール』
https://hautecouture-movie.com/
4/22~4/28 ①13:10 ②19:35
4/29~5/5 ①12:35 ②16:50
5/6~5/12 時間未定
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