海外就職に必要な英語力|インドで働いて分かったほんとのところ
はじめに
英語ペラペラじゃないと海外で働けない?
「海外で働くためには、とてつもなく高い英語力が必要なのではないか?」
インドに来る前の私はそんな風に思っていました。
具体的には
・ネイティブの話す英語が100%聞き取れ理解できる
・ネイティブと同じくらい流暢に話すことができる
・ネイティブが使うイディオムや単語を沢山知っている。自分でも使いこなすことができる
つまり「上級レベル」、いわゆる英語ペラペラの状態でないと、海外では働けないのではないか、と思っていたのです。
ちなみに、海外就職する前の私の英語力はこんな感じでした。
・TOEIC925点
・欧米顧客を相手に毎日ビジネスメール、文書を書く仕事
・数ヶ月に一度、お客様と会って英語で話すものの、日常業務ではないためスピーキング力に自信がない
資格や仕事だけ見ると「上級者風」ではありますが、前述した英語ペラペラの「上級レベル」には達していません。そんな私は「海外で働くには少し自信がないなあ」などと不安に思いながらインドにやって来たわけです。
「海外で働ける英語力」のほんとのところ
しかし、アジア圏における海外就職に関しては、「上級レベル」である必要はありません。誤解のないよう「アジア圏」とするのは、やはり欧米での就職は話が変わってくると思うからです。
私自身はまだ欧米で働いた経験はないので、この記事では、海外、特にアジア圏の国で働くためには、どのくらいの英語力が必要なのかについてお話ししたいと思います。
海外で働くために必要な英語力とは
「英語が公用語」の本当の意味
前述の通り、アジア圏に限定すれば、英語ペラペラの状態でなくても海外で働くことは可能です。なぜなら、多くの国の人々が数ある公用語の一つとして英語を話しているからです。
公用語とは、以下のように定義されます。
アジアでは複数の公用語を持つ国が多く、例えばシンガポールでは中国語、英語、マレー語、タミール語、香港では中国語と英語、というように、いくつもの言語が指定されています。
つまり、私たち日本人が一般的に英語圏として思い浮かべる国であるアメリカ、イギリス、オーストラリアなどのように、英語が母語、または第一言語、ではないわけです。
ちなみに、アジア圏で英語を公用語としている国・地域は以下の通りです。
・シンガポール
・マレーシア
・フィリピン
・インド
・香港
香港やシンガポール、フィリピンの英語力は比較的高いと言われていますが、あくまで「公用語」としての英語力の高さです。タイやベトナムなど、英語話者が少ない国との比較だと考えると分かりやすいと思います。
インドの英語事情
私が働くインドの公用語はヒンディー語と英語です。街中の看板やサインはヒンディー語と英語の併記が多く、都市部のお店の看板などは英語のみの方が多い気がします。
ヒンディー語と英語の他にも20を超える言語があり、インド人同士でも地域が異なると言葉が通じないことがあるため、特にビジネスの場面では多くの人が英語を話します。同じ地域に住むインド人同士はヒンディー語で話すのが基本のため、英語はビジネス場面や、外国人と話すための第二言語、という位置付けのようです。
私の会社で働くインド人も全員英語が話せますが、実際に話してみると、文法が間違っていたり、欧米ネイティブに比べると簡単な表現で話していたりします。
彼らもよく間違うので、私たち日本人がたとえ間違った表現や文法を使ったとしても全く気にしません。また、お互いに第二言語として英語を話しているので、高度な表現もイディオムも必要ありません。お互いに伝わればオッケー。そんな雰囲気を感じます。
インドで働く日本人の英語力
実際、私の日本人の同僚の英語力は正直あまり高くないです。たとえば、
・お茶が欲しかったら”Black tea!”
・ドライバーに1時間後に来て欲しかったら”1 hour, ok?”
・上司にいつ空いているか確認する時も”When are you free?”
正直、同じ会社で働く同年代の同僚に対しては
・”Could you bring a cap of black tea?”
・”Could you come here 1 hour later? “
・”When are you available?”
くらいは言えないものか、、、などと思ってしまう自分もいるのですが、インド人の英語力的にはおそらくどちらでもオッケーなのです。むしろ、ドライバーさんや街の飲食店で働く人など、英語があまり得意ではない人もいるので、彼らに対してはシンプルな表現の方が伝わる場合もあります。
日本人の英語力の秘密
かといって、インドで働く日本人の英語が全くの初心者レベルかというとそうではありません。では、何が違うのか。それは、インドで働く日本人は、自分の考えをシンプルに分かりやすく、自信を持って話せる英語力を持っている、ということです。
私の会社の日本人の英語は、殆どが所謂ジャパニーズイングリッシュ(+現地で染み付いたインド人っぽい喋り方)で、発音もイントネーションも全然綺麗ではありません。あまりにジャパニーズなので、単語が本当に伝わっているのかな?と思うこともあるくらいです。
ですが、働いている日本人全員が、発音も間違いも怖がらず、恥ずかしがらず堂々と、シンプルに分かりやすく話すことで、問題なくコミュニケーションが取れています。加えて、5W1Hを使った分かりやすい質問の仕方や、論理的な話し方・伝え方などは、みんな意識してやっていると思います。
先述のとおりインド人も第二言語としての英語話者なので、例えこちらがうまく話せなくても、馬鹿にしたり、下に見たり、ということがありません。私はこれまで欧米を旅行した時、ネイティブからそういった態度を取られて自分の英語力に自信をなくしたことが数えきれない程ありました。しかし、インドに来てからはあまりそういう嫌な思いをしていません。
インドで働く日本人の中には、日本にいた時から自信を持って話せていた人もいるでしょうが、インドに住んで働き、英語を話すことに慣れていく中で、自然と自信も付くのだと思います。インドに限らず、多くのアジア圏で同じことが言えると思います。
個人的な余談
ここからは個人的な余談なので、興味のない方は読み飛ばしても構わないのですが、私は転職活動中に「あなたの英語力はオーバースペックなのでお断りさせてください」とタイのある会社から言われました。そんなことないだろう、と思っていましたが、インドに来てようやくその意味が分かりました。
タイは英語話者が少ないので、恐らく私にとっては物足りない環境だったと思います。逆に、あまり英語力に自信がない人でも挑戦できる国とも言えます。
インドもアジアの中では比較的英語力の高い国ですが、欧米と比べればそんなに怖がることはありません。実際、私がTOEIC900overであることを知った同僚は皆、驚いていたくらいなので、中級者レベルの英語力で十分頑張れる国なのだと思います。
私自身は、まだインド人の特徴的な発音を100%理解することはできていないので、日々ポッドキャストを聞いたりインド人と雑談したりして、耳を鍛えている最中です。
また、これまで使っていなかった単語などは、仕事や日常会話を通じて少しずつ自分のものにしていこうと思っています。例えば、Excelのデータについて話す時にFormula(関数)、row(行)column(列)など、これまで会話で使ったことがないような単語はうまく口から出てこなかったのですが、何度か使ううちにすぐに口から出てくるようになりました。
先述の発音に関しては、ミスコミュニケーションを避けるためにも最低限LとR、VとBなどの似た音の発音や、分かりやすいアクセントなどは練習した方が良いと思います。
よく日本人が「インド人にこれだけ言ったのに伝わらない!」と言って怒っているところを見るのですが、重要な単語が聞き取れていない可能性もあるよな〜などと思ったりもします(実際にどうなのかはこれから働く中でわかってくると思うので、またどこかで記事にしたいと思います。)。発音の勉強方法についてもいずれどこかでまとめたいと思います。
まとめ
アジアで働くために必要な英語力
海外、特にアジアで働くために必要な英語力をまとめてみました。
自信を持ってミスを怖がらずに話す力
分かりやすく論理的に伝える力
現地の人の英語を聞き取るリスニング力
日常会話や仕事で使う単語力
最低限伝わる発音とアクセント
こうして見ると、そこまで高いハードルではないのではないでしょうか。特に3と4は現地に来て生活する中で自然と身に付くものだと考えると、海外で英語を使って働く、というハードルはかなり下がるように思います。
英語力は高いに越したことはありませんが、私のように「私の英語力はまだまだだから…」と時間を浪費するよりは、ある程度まで勉強して基礎力が身に付いたら、思い切って海外に飛び出してしまうのも1つの選択肢だと思います。
最後に
私はインドに来て、世界でこんなに多くの日本人が英語を使って仕事をしていたのか、と驚きました。日本という狭い島国を出て、言語も、文化も、宗教も、価値観も、何もかも違う人たちと仕事をする。それはとても大変なことだけれど、同時にとても刺激的で、ワクワクするものです。これまで暮らしていた世界とは全く違う世界がそこには広がっています。そんな世界へ飛び出していく、そのために誰もが手にできる切符、それが英語力だと思います。
この記事を読んだあなたが、海外へと飛び出す勇気を少しでも持ってくれたら幸いです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?