秋の終わりのクリスマスマーケット フランス・ストラスブール
桃色がかったアルザスの町並みに、紅葉はとても似合う。
葉っぱを通り抜けるぬくいひかりが、やわらかに揺らいで、心が溶けていく気がする。川沿いの木々の黄色が水面にも映って、なんともきれいだ。11月末の肌寒さも感じないような、暖かな眺めが広がっている。
そんな秋の終わりのストラスブールでは、早くもクリスマスマーケットがはじまる。
自然の赤や黄色に、クリスマスの飾りつけたちが加わって、素朴な町はきらきら輝く天の町になる。
木の屋台が並び、レストランもリースやモミの木でおめかししている。ただでさえ綺麗なストラスブールの木組みの町並みが、もっと華やぐ。
金のチェーンにベルベットのサンタクロース。町を歩いているだけで楽しくなるのは私だけではないようで、嬉しそうな人の声もまたあたたかい。
マーケットは、川の近くや教会前の広場など、町の色々なところに広がっていた。どのエリアでも、グリューワインやソーセージの香りで心が満たされる。
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ストラスブールの旧市街の真ん中には、大きな大きな大聖堂がある。
マーケットの間を歩いて、その向こうに現れたものは、「大」聖堂にしてもあまりにも大きい。空の先まで細かい彫刻が広がって、天の向こうの神さまに届けるために作られたみたいだった。これを人の力で13世紀に作ったって、本当なのだろうか。
大聖堂の足元にもやっぱりマーケットが広がっている。マーケットおなじみメリーゴーランドもきていた。どこで写真を撮っても背景に大聖堂が入って、絵になる。
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町を南の方から回ってきたので、最後にいくつか広場に寄って帰る。
ガヨ広場は色とりどりの家が立ち並んで、紅葉とあわせてとてもかわいらしい感じになっていた。レストランの手作り感あふれるガーランドが、広場に地元の味を出している。
もう一つ立ち寄ったクレベール広場は、雰囲気がいくらか新しめで、大きなクリスマスツリーが飾られ、一番人でごった返していた。冷たい冬の始まりなのに、風の冷たさすらいいスパイスみたいだ。
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秋が終わって、冬がはじまる。暗くて寒い季節が、人の工夫のおかげで、一番待っていた唯一無二の季節になる。クリスマスマーケットはこれだから素敵だ。
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