森の中のかわいい村 ドイツ・ミッテンヴァルト
ドイツの南東の州・バイエルン州は、自然豊かな州だ。特に南部はドイツアルプスになっていて、四季折々の景色を楽しむことができる。
バイエルン州は、州都のミュンヘンや、山の上の白亜のノイシュヴァンシュタイン城で有名だが、実は他にも小さくてかわいい街がたくさんある。
10年に一度のキリスト受難劇で有名なオーバーアマガウ、ウィンターリゾートとして人気のガルミッシュ・パルテンキルヒェン、ヒトラーの別荘地で有名なベルヒテスガーデン。
それらは大抵、隣国オーストリア行きのドイツ鉄道の途中駅でもあるので、オーストリアに行くついでに立ち寄るのもいい。
車窓も豊かで、春にいくと一面の牧草地に黄色いタンポポが広がり、夢のような花畑を見ることができる。
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オーストリア・インスブルックからミュンヘンへの移動の途中で、そのうちのひとつミッテンヴァルト(Mittenwald)に立ち寄った。村の名前は直訳すると森の中みたいな意味で、文字通りアルプスのまっただ中にある。
駅は自然の中にあり、小さいが清潔で綺麗だった。間近に山が見えて、駅のホーム上にすらマイナスイオンがただよっている。駅舎はかわいいすみれ色だ。
駅を出ると、低い建物がずっと並んでいる。中心地まで歩くと、一つだけ背の高い建物が見えた。教会の塔だ。壁はカラフルなフレスコ画があしらわれていて、これまたかわいい。
教会前の通りには、ヨーロッパでおなじみのオープンテラスのあるレストランが立ち並んで、観光客や地元の人が談笑している。小さな町だが、寂れているのではなく、穏やかな活気に包まれていた。
ミッテンヴァルトは、ガイドブックではバイオリンで有名な町だと紹介されている。17世紀から現在まで、バイオリンづくりで栄えているそうだ。バイオリン博物館もあるので、バイオリン好きの人にとっては垂涎なのだろう。
バイオリンに詳しくない私は博物館には行かなかったけれど、代わりにお土産屋さんで小さいバイオリンのマグネットを買った。習いたてのつたないドイツ語で会話して、ちょっと通じただけで嬉しくなる。
道中の途中下車、次の電車が来るまでの1時間程度のちょっとした滞在だったけれど、楽しい街歩きができる素敵なところだった。