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友達のおばあちゃんの服をもらった

高校時代を共に過ごした「とも」という友人がいる。
ともは私が皿割子として書く記事をいち早く読み、時々感想をくれ、周囲の人たちにも広めてくれるくらい、この活動を応援してくれている。

ある日、ともから「おばあちゃんの服が大量にあって、きっと似合うから一度見にこない?」と連絡がきた。
添えられていたのはストライプ柄のジャケットとスカートのセットアップの写真。
それだけで、とものおばあちゃんがオシャレな人だということがわかる。
どうやらおばあちゃんの服はハイカラなデザインのものが多く、ともも、とものお姉さんもイマイチ似合わないのだという。

そしてこの夏、帰省のタイミングでともの家で『おばあちゃんの服を着こなそうファッションショー』が開催された。

参加者はともと、初めてお会いするとものお母さん。

今回服をいただくおばあちゃんは、とものお母さんのお母さんにあたるのだが、なるほど、とものお母さんもオシャレな方だった。

今回のラインナップがずらりと並べられる。
ともが「あれ?まだ他にあったやんな?」と聞けば、お母さんが「これやけど、あんまり割子ちゃんぽくないから…」と言ってレースと別珍の深い赤紫色のブラウスを見せてくれた。
大抵の服は着てみないと本当に似合うかどうかわからないものだが、私はどうにも別珍だけは似合わない。
おそらく骨格と顔つきに別珍の重厚感が合わないのだと思う。
同じく重厚感を感じさせる深い赤紫色は、私があまり似合わない色でもある。

それを一発で見抜いたお母さん、只者じゃない。

とものおばあちゃんの服はパッと見ただけで「良いもの」であることがわかった。
デザインこそ当時の流行りを感じさせるものの、生地が伸びたり、シルエットが崩れたり、そういったことは一切ない。

そして不思議なことに、サイズが私にピッタリだった。
肩パッドの入ったジャケットは、サイズ選びが重要で、大きすぎると着られている感が出るし、小さすぎると肩が入らない。

おばあちゃんの服はどれも大きすぎず、小さすぎず、体にフィットしてなんとも上品な雰囲気にしてくれる。

特に事前に写真を送ってくれていたストライプ柄のセットアップは、体型にも雰囲気にもよく似合っていた。

隣の部屋で次に着せる服を選んでいるともと、とものお母さんを呼ぶ。

「すごく似合っているので見てください!!!!!!!!!」

普段自己肯定感の低い私は、ことファッションにおいてのみ自己肯定感が高くなる。
私自身がどうであろうと、服が可愛いことに変わりはないのだ。

ともととものお母さんに「やーん!似合う!」と言いながら周りを取り囲まれ、3人でキャイキャイはしゃいだ。

可愛い服がいっぱいで嬉しくて、体へのフィット感が不思議で、鏡に自分の姿を映しながらくるくる回っていると、とものお母さんが1冊のアルバムを見せてくれた。

「これ、当時のおばあちゃん」

着ているのは、今私が着ているストライプ柄のセットアップ。
パーマと、赤いリップとのコーディネートが素敵だった。

とものおばあちゃんに、私は会ったことがない。
この服を着た時、とものおばあちゃんはどう思ったのだろう。

私のように、嬉しくて姿見の前でくるくる回ったりしたのだろうか。

同じ服を着て写真に写る女性の人生に想いを馳せながら、この服を着てどこへ行こうか、そんなことを考えていた。




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