the Prom 感想&ネタバレ
こんにちは!更級志織です!今回はNetflixや映画館で放映されているLGBTQ 映画、The Prom のあらすじ紹介、私なりの感想を書いていきたいと思います。
The Prom を観に行ったきっかけ
プロムを観に行ったきっかけは2つあります。
まず、今年9月に日本で公開されたブックスマートという映画を観て、『女と女』映画の素晴らしさに気づいたこと。
シスターフッドという概念をご存知ですか?シスターフッドとは、姉妹や姉妹のような女性同士の関係を示し、また女性解放運動の中で、第2波フェミニズムであるウーマンリブから女性同士の連帯という意味で使われ始めました。昨今では#metoo 運動のあと、爆発的にシスターフッド映画が大注目されました。
ブックスマートはレズビアンカップルと女子同士の親友という二重のシスターフッド物語なわけですが、まだまだ「女の友情はハムより薄い」などと言われる社会の中で、私をエンパワーメントしてくれました。
ブックスマートを見て、シスターフッド映画、女性をエンパワーメントする映画を探していたところ、the Promに出会い、これは絶対エンパワーメント系の映画だ!と思い、観に行くことに決めました。
2つ目は、監督がライアンマーフィーだったこと。gleeという2009年から放映された、ミュージカルドラマを知っていますか?アメリカを中心に世界中で大人気になり、特にLGBTQの問題を主に扱い、多大な影響を及ぼしました。このgleeの監督が、ライアンマーフィです。
gleeのシーズン2では、カートとブレインの同性カップルがプロムに行くシーンが描かれています。
最近、セクシャルマイノリティを扱った映画が増えていますが、中には当事者からブーイングが起こったり、ただ流行りものを扱ったという感じの、理解が感じられない作品もあります。ライアンマーフィのように自身もセクシャルマイノリティで、gleeのような成功例がある監督なら、the Prom も素晴らしい映画なのではと思ったのです。
あらすじ
最初に映るのは高校の体育館。レズビアンの高校生エマは、同性のパートナーとプロムに行きたいと訴えました。校長(ちなみに黒人男性)はエマの味方をしてくれますが、PTAが猛反対をします。校長は裁判所を巻き込み、エマを参加させるよう命令を下させます。しかし、PTAは「同性カップルが参加するくらいなら」とプロムを中止させようとします。ところが、エマの恋人はPTA会長の娘のアリッサ。二人は夜の学校でデートをします。
一方、ニューヨークでは、ブロードウェイスターであるディーディー(ちなみにゲイ)とバリーは舞台が酷評され、落ち込んでいました。バリーはナルシストで、イメージが悪いことが酷評された理由ではないかと推測し、イメージアップのために、人権活動をしようと思いつきます。ちょうどその時、Twitterでエマの騒動を知り、体育館に乗り込みます。
結局、プロムは開催されることになります。
エマはブロードウェイスターたちをおばあちゃんの家に案内します。カミングアウトした際に、両親に家を追い出されたのです。
当日、PTAはプロムを別に用意し、意気揚々と会場に入ってきたエマは、校長しかいないガランとした体育館を目の当たりにし、泣き出します。アリッサはPTAが用意したプロムにいました。エマとアリッサの仲を知ったいじめっ子たちが、アリッサに会場を2つ用意してることを知らせなかったのです。電話はつながったものの、アリッサは母親が怖くてエマのところに駆けつけることができませんでした。このことが原因で、エマとアリッサは別れてしまいます。
ディーディーは16歳のときにカミングアウトとともに家を出て、その後何十年も母親に連絡していませんでした。そのことを知ったバリーはディーディーの携帯から母親に電話をかけ、ワン切りします。ディーディーからの電話だと思った母親はディーディーに会いに行き、和解をします。
その後、エマはブロードウェイスターたちに励まされ、誰でも参加できるプロムを開催します。テレビ出演させてあげるというバリーの誘いを断り、ネット中継で自分の歌を披露。セクシャルマイノリティの若者たちに勇気を届けました。
ブロードウェイスターの金銭的援助のおかげで無事プロムは開催されます。ところが、直前になって、アリッサの母親が乗り込んできます。そこにいじめっ子たちが登場。エマに謝ります。アリッサは母親の目の前でエマに「愛してる」といい、母親は体育館をあとにします。
プロムの開催時間になり、全国から集まった仲間達が会場に入ってきます。そこには、ドレスアップしたアリッサの母親の姿もありました。
壮大なミュージカルシーンでこの映画は終わります。
感想&オススメシーン
まず、最初の方なんですが、ボールを投げてくるいじめっ子たちに、エマが笑顔でボールを投げ返すシーンに注目。これはいじめられたことのある人には刺さるとおもいます。
その後のPTAの後の夜の学校で、エマとアリッサが歌いながらデートするシーンは、切ないながらも美しくて、胸がギュッとなりました。
この映画で気をつけたいのは、何度もエマが繰り返す『私は世界を変えたいわけじゃない』ということ。エマはただ恋人と踊りたいだけなのです。そのようなささやかな願いさえも『人権問題』になってしまい、世の中と戦わなければならない、そのようなおかしさが強調されています。『暴動はおこしたくない。先駆者になる気もない。シンボルにはなりたくない。教訓になるのもいや』と劇中にありますが、近年指摘されてる、レズビアンに限らずマイノリティを『教訓』『感動モノ』として"消費"することの問題点を忘れずに鑑賞したいものです。
また、恋人と踊りたいだけのエマとアリッサと、レインボーフラッグを振りかざすブロードウェイスターたちの対比は、都会中心のリベラルに対するライアンマーフィーの批判が顕れています。当事者の意思を無視してやりすぎるally のウザさは万国共通ですね。
また、二人はかなり大人しい性格であることも特徴の一つです。gleeのレズビアンカップルであるブリトニーとサンタナは攻撃的とも言える強気な性格ですが、今回のカップルは基本的に内気な性質で、だからこそ大人に訴えるシーンでは二人の勇気が際立ちます。私自身も大人しい性質なので、共感できました。
この作品の見せ場である、エマがネット中継で歌を歌うシーンは、世界中のセクシャルマイノリティの若者がエマの思いに共鳴し、どんどん視聴回数が増えている描写が感動的です。
プロムの前に、アリッサがエマに母親の前で「愛してる」と言うシーンは、エマ以上に内気で、母親に従順なアリッサがまさかそんなことをするとは思わなくて、とても驚きました。
最後の場面で流れる「i just wanna dance with you」は劇中で何度も繰り返されますが、エマの願いが叶ったあとに聞くと、涙を誘われます。
おわりに
この映画は、セクシャルマイノリティの若者はもちろん、何かしらで抑圧を受けてる人々や、エンパワーメントされたい女性におすすめです。
都内では、有楽町、吉祥寺、1月から池袋で見れるほか、Netflixでも見ることができます。
ぜひ、見てください。
P.S.
なんか評判イマイチだな〜この映画、と思ってたら 一番目立ってたキャラの俳優さんがheterosexualなんですね。主人公カップルはどちらもqueer だそうです。
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