創作はうつー 展開について

 やや構成についてと被りますね、これ。

 いつものように、基礎知識から始めますか。

 ほら、皆さん聞いたことあるあれですよあれ。
 「起承転結」だったり、「序破急」だったりするあれです。
 詳しい語句の由来や内容の説明はここではしません、尺が足りなくなります。興味があったら調べて見てください。

 まずどうして、この構成が広く伝わっているのか、に触れましょう。とは言っても理由は簡単です。

 入り込みやすい、読みやすい、あと天才のとりあえず書いてみたなんかを理解しやすいから

 だいたいの作品で意味が通るように書くとこれが起こる、それを理論的にやってしまおうなんて試みが近いですね。

 とりあえず、それぞれが長すぎるとどうなるか、書きますか。

起が長い、作品に入り込む前に飽きます。
承が長いと、特に弊害ないですねここ。
転が長いと、息切れします、作者も、読者も。
結が長いと、読まれないです、転読んだしいいやって。


 久しぶりに実例を出しましょう、お前短いのばかり書いてるのに構成なんてあるのかって思われてそうですし。

「そらにくじら」

「どうしてクジラは飛ぶのだろう」
 そいつは行儀悪くベンチに体重を預け空を見上げる。田舎ということは必然光源も少ないということであり、一文にもならない星空は確と見える。
 星はいつもそこにあって、あるかないかではなく見えるか見えないかだけだと小学校の頃教師が暑苦しく語っていたのが頭をよぎる。実にどうでもいい話だ。
「クジラは専ら食事のためじゃなかったか、イルカなんかだと清潔のためとかただの遊びで跳ねたりするらしいが」
「あー、うん。その雑学はすごいんだけどそうじゃなくて」
 指先を空に数度回し、最後にこめかみをつつく。
「何を思ってわたしたちはクジラを空に飛ばすんだろうって」

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11971820

 こうして分けたのがそれぞれ起承転結に当たります。
 こんな短文でもそれは内包しているもの、と伝わってもらえれば幸いですね。

 この中で起きてることは

「起」で興味を引き(今回はクジラの飛ぶ理由を考えさせる)
「承」で前後を補う(情景描写の埋める、視線を上に誘導する)
「転」で一度解決させる(一般的なクジラの跳ねる理由を提示)
「結」で再度、クジラが実在のものでなく架空のものであると示して引き込みました。


 ね?簡単でしょう?

 言ってみたかっただけですごめんなさい

「起」について

 何回か触れてますねここは、なので多くは語りません。

 読者は期待してるので、面白さを示してください。
 説明なんて後です、面白くもないものへの説明なんて何の価値もないですから。これはこういうものなんだって説明は物語を動かしながらしてください。

 やること済んだらサクッと終わらせましょう、繋がりとテンポがよくなります。
 起と承の間で場面転換する作品は物凄く多いですから思い切って動かしてもいいです。

「承」について

 小説はここを書くためにあると言って過言ではないです。

 いや、ここに主題を置けとかそういう話ではなくてですね。文量と作品の印象を担う要がここにある、という意味です。
 皆さんの好きな作品の印象、暗いとか明るいとか、を思い返してくれればピンとくると思います。

 なので力尽きない程度に存分に楽しんでください。

「転」について

 ここと結はピシッと決めましょう、できなければ作品の質が目に見えて落ちます。

 大抵の方は漫画とかアニメとかで感じたことあるでしょう、「いつ終わるんだよこの戦闘」って。それが起きます。
 作者もエネルギーかなり使いますし、読者も飽きますし、長くしていいことはないと言い切ってもいいかもしれません。

 面白いところだから長く、なんて思うかもしれませんが良い物は足が早い物です。グッと堪えてください。

「結」について

 作品の印象を台無しにしないことだけを考えてください。

 終わりよければ、なんて世の中では言いますが、こと作品の世界でそれは成り立ちません。結末はあくまで結末で、本体では無いんです。

 既に作品の印象はついている状態でここに挑みますから、挽回をなんて考えないでください。

 当然ですがここで下手なことをすると作品が台無しになります。
 出来上がってる印象を床に叩きつけるような結末をした作品は思い返せば星のようにあると思います。ほら、今連想したそれとか。

 既に承転で読者は盛り上がっていますし、そのままお帰り頂きましょう。

 気を衒わず、素直に、短く、読後感を大事にしてください。