創作はうつー 話の作り方
話の作り方
そうですね、まず宣言しておきます。
「私は物語単位での推敲はできない人間です」
また書いてから後は治してねなんて言い出したら口を縫い合わせてやろうかと構えていた皆さん、安心して、あと縫い針を仕舞ってください。怖いです。そして今回もきっと壁に叩きつけるのかとリンゴを用意してくれた皆さん、今回は使わないので食べちゃっていいです。
インスピレーション
これ大事です、一番大事。ここでコケる作品はきっと書くべきでないものです。
とりあえず私の例を出しますか、というかここは個々人が解消する領域なので他にやれることがないんです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11999165
この「夏と本と虫」は情景です。
夏に本棚の並んだ和室を外から眺めて中で人がだらけている光景
これを想像してそのイメージから離れないように書いてます。
インスピレーションはエンジンのスターターって方もいるでしょうし、そう教えられると思います。
ただ私はもっぱら作る作品が見当違いな方向に行かないための型として扱ってます。
多分初めて書く方なんかはプロットを丁寧に、よりこちらのがいいかと。書けないものを無理に書こうとしなくて良くなりますし、書けたはずなのにイメージと違うなんてことが減ります。
書き出し
個人差のある領域ではありますが、私は全て頭から書いてます。
書きたいところから書けみたいな話もよく聞くんです。
でも書きたいところを書いて、また初めから書いて上手くそこに着地させるってかなり技術のいることなんです。正直それは2本別に書いた作品を矛盾なく繋げるようなものなので。
なら最初から頭から書いて、上手く書きたいところへ着地しなかったら次に回すくらいの心持ちで書いた方が楽です。
書き出しに当たって、慣れてない人によく聞くことと言えば
「どう始めればいいのか分からない」
ですね。
正直に言いましょう、あと思い返してみてください。
書き出しなんて雑でも気にならないです。最低限情景だったり動作を挟んで唐突さを軽減すれば特に滞りなく始まります。
参考
「夏と本と虫」
蝉の声は遠くになり始め、耳を澄ますと鈴虫の声が主張する。汗の不快感を忘れるために耳に集中するもそこにあるのは夏ばかりだ。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11999165
「Uto」
音のない演壇はどこまでも物寂しい。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12030186
ペース
この界隈、ssスレ読んだことある人少なくないですよね。
似たような感覚で書いて、言い様のない「なんだこれ」って感覚になった人も少なくないと思います。
そこを掘り下げましょう。
まず大前提ですが、その書き方が間違っているなんて話はありません。
レーベルに関わらず、そういった軽妙な話を得意とする作家さんはいますし、それはそういうものとしてありでしょう。
ただそれであなたが納得できない場合の話をします。
紙面にはペースがあります。それも繊細なものが。
そうですね、見た方が早いでしょう。
「うるさい人」(ペースの早い作品)
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6142705
「創作の足元に」(ペースの遅い作品)
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10081534
この2つの印象の差は何より台詞と台詞の間隔にあります。
長く、多く埋めると遅くなり、短くすると早くなるものです。
「なんだこれ」の正体は早すぎて目が回る、遅すぎて窒息する気持ち悪さの主張だと思ってください。
リズム
最後に明確に治さないといけないものの話になります。
書いた文に「小学生の作文かな」という感想を持ったこと、誰もがあると思います。
大概の場合その感覚は語尾の統一だったり、文体の統一だったり、所謂単調さからもたらされています。
リンゴ…はもう食べちゃいましたね、今度は蜜柑にしましょう季節ですし。
蜜柑を剥く、房を食べる、私は笑う。
はい見事な小学生文ですね、ただ常にダメとは言いません。
主人公が緊張していたり、疲れていたり、そういう複雑な思考ができないという表現の一環として扱うことはあります。
蜜柑を剥いて、房を口に運んだ。笑う。
それぞれ変えてみました。少しはマシになったでしょうか、さっきのロボットダンスよりは血が通っていると思ってもらえれば狙い通りです。
時系列を整理する、語尾の母音を変える、意図的に表現を減らしてリズムをズラす、この辺りが簡単な単調さの無くし方ですね。
やめてください、蜜柑を投げないで、痛いです。結局果物じゃないかって、わかりやすいんだからいいじゃないですか。