創作はうつー 構成編

構成について

 書き出しの項でしとけ!って言われる話から始めますか。

 まずそうですね、読者は何も知らないところから始まりますが、一般教養はあります。

 大抵の場合登場人物が知的生命体であり、言語による社会形成をしていて、そして物語が始まるものだ。

 ここまでは読者のほぼ十割近くが承知していると思ってください。

 大事なのは最後のところです。
 「物語が始まる」、これは言い換えれば読者が私たちに期待していることです。

 なので書き出しは多少強引であっても読者は期待によって修正をかけてくれます。そのため書き出しは雑でもいいんです。

 ちょっと鋭い方は何となく察しているでしょう。
 締め方、これは雑にやると途端に駄作になります。読者からしたら終わることは特に望んでないですから。

 じゃあどうすりゃいいんだーってなりますね。
 実のところ私もここは苦手です。ただ一つだけ思うところは、蛇足は不足よりみっともない、ですか。

 これは割と私の創作ポリシー全部にかかってきます。「音」で語句の判断をしているため、過剰な表現は息苦しくなりますから。

 ちょっと私の古い作品も取り出して比較しましょうか。

 しっかり〆れたものをまず上げてみましょう、依頼物ですが。

「未だ緞帳の上がらぬ屋根裏」

 好奇心は猫を殺すと英国では言うらしい。過剰な好奇心は身を滅ぼすとかなんとか、そんな意味だ。とはいえ猫にリードをつけられないように好奇心に首輪もつけらないのだから世話はない。
「不思議が先か、ぼくたちが先か」
 世界から先に消えるのはどちらが早いだろう。熱の広がりつつある毛布の中でそんなことを思う。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11989165

「天気雨」

 夏の暑さも湿度も、街の煙たさも雨が全て押し流したのだろう。とてもとても気分がいい、快適だ。
「今ならなんだって出来そうな気がする」
 だって、こんなにも空は青い

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12048752

 共通していることと言えば最後の一文が作品全体の空気を則って出来ていることです。
 前者では篭った穏やかさを、後者では軽快な楽しさを載せて書いたものですね。

 最後に予想を裏切って、なんて作品も世の中にはあります。
 それも何ら悪いことはないんですが、私も含め素人がやるとインパクトだけの作品になりがちですし薦めません。

 そしてダメな例です、私は死にたくなります。

「花粉なんて」

「いやいや、花粉症の時期は通常の三倍馬鹿だと思ってくれていい」
 赤い瞳の馬鹿、とかいうフレーズが脳裏を過ぎったが色々と問題のある命名なため口に出さなかったのは彼の英断である。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6349118

 例示はひとつで勘弁してください、古いの漁れば悪例沢山ありますから!ね!?

 この〆の悪い所はまず、オチ=綴じの文句になっている事です。
 それの何が悪いのか、触れますか。
 余韻なくいきなり終わった感覚になるんです。これから起こる何かを期待させて、足払いでもされたのかとさっくりと終わります。

 それはそれでいいのでは?と思う方も多いでしょう、まあ好みの領域の話ではありますね。

 ただまあ、終わる時はちゃんと終わる気配を見せて簡潔に終わる。その方が綺麗だと私は思います。