創作はうつー 人物について

人物のまとめ方

 まず、私は話を書きながら人を組み立てるタイプなので先に人を作るやり方はわからないです。
 ただ人をモチーフにした話は最近はよく書いてるのでそれで説明します。

人格の一貫性

 技術がーとかそういう話の先に基礎知識です。
 ここをあやふやなまま書くと、作中の人物が作者のエゴの塊になりがちです。

 まず大前提として人間は機械ではないです。
 同じ情報を入力したとしても常に同じ出力はしませんから。
 誰がそれをしたかだったりその時の気分だったり、ただの気まぐれかもしれません。あとは飽きですね、ひとつの情報に対して常に同じ答えをしない理由の一番わかりやすいところです。

 しかし、違う答えを出すとしても人格は常に一定です。

 ただこれは理論だとか、セオリーなんかは特にないです。楽はできません

 なので書く時は正確に、明確にイメージし続けてください。
 数式みたいにこいつはこうだからで終わらず常に感情と思考を追いかけ続けてください。
 それが人格の一貫性とリアリティを産みます。

セリフの作り方

 では早速技術の話に移りましょう。
 と言ってもキャラクター造形のことは私には分からないので表現技法を。

 恐らく手をつけた人はみな体験していると思います。

 特徴的な口調でないと誰が発言したのか分からない、なんて事案。

 これはそうですね、6割方正解です。
 意欲的に差をつけない限り誤解される可能性は常にありますし、差をつけたところで不自然にバイアスのかかっていたり悪く受け取ろうとしたら誤解できます。
 それを乗り越えようと過剰に人物を示した結果、雪だるまのように膨らんだ文になった方も多いでしょう。

 なら、どうするか。
 話は簡単です。技術を磨いてください。

 まず悪例を3つ上げます。

1. 「ーは言った」等の多用
2. 過剰なセリフの個性付け
3. 会話順序のワンパターン化


 説明要りますかね。
 見ただけで分かると思われますが、これをやるとそれは人物ではなく舞台装置になります。
 例えそれがファンタジーであろうと不自然がすぎます。

 ではどうそれを乗り越えるか

 そうですね、まずある程度は諦めてください。

 書いた時点で、単体の会話内容だけで誰の発言か十割わかるようにする。

 無理です、無茶です。

 仮にできるのならそれはもう天職ですね、それだけで食べていけます。それだけに難しい技術です、不可能と言っても相違ない。

 そんな天賦の才が無い凡人の私たちはそうです。

 また音に頼ってください

 音で何ができるんだ、って方いますかね。多分いるでしょう。
 ではちょっと調査をしてみますか。

この中に手紙を書いたことのある方はいますか
 お、結構いますね。まあ学校の授業でもやるところはありますか。

では、相応に期間のかけた文通をしたことのある方はいるでしょうか
 
ガクッと減りましたね、だと思います。
 あ、メールは含まないでください。理由は後述します。

最後に、会話より文通をしたことの方が多い方はいますか
 でしょうね、いません。
 もしいたとしたらそれは耳に何がしかを抱えてる人でしょう。

 私たちは大抵、目よりも耳で人を判別することの方が多いんです。
 
それは電話かもしれませんし、流し見してるテレビかもしれません、道を歩いていて声の聞こえることも多いでしょうね。

 人と話してるときに顔を熱心に見る方もいないと思います。
 会話してるのなら会話の内容に、音に意識が向かうのが自然ですし。そもそも単純に目だけで会話することなんてほとんど無いでしょう、耳も併用しますよね。

 メールを除外した理由ですが、チャットアプリなんかもそうですね、あれらは送ってきたのが誰か内容で判別することが無いんですよ。
 誰が送ってきたか名前を見てから受け取るでしょう?なので文内容から人を判別する経験にならないんです。

 内容から人を判別するのに耳を上回る器官がないことをわかってもらえたでしょうか。


 こいつはこれを言わないだろう

 これを徹底して避けてもらえれば会話文としては充分及第点です。
 不自然に個性を付けようとして文章を不自然にしたりしないでください。読者は集中して読んでいるでしょうしそういう所に敏感です。

 しかし展開として不自然でなく口調の似た人物の対面を避けれるのであればそれに越したことはないです。

より具体的な区別の仕方

 二作品、例を出してそれぞれ説明しますね。

「優先すべきもの」

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12007067

 こちらは両者ともやや雑な話口として共通しています。
 「あんた」と「お前」で二人称を変えてはいますが、そこまでこれが効果的かは個々人の判断に任せます。

 これの主な会話内容の分け方は心情と立ち位置です。

主人公へ問いかけて煽る友人
悩みを見て見ぬふりをしながら応える主人公

 この立ち位置に則った発言をなるべく取らせるようにしています。

「未来を悼むには」

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11987567

 こちらは前者とは異なりフラットな口調ですね、一人称も性別も違いますしそもそも勘違いしないって言う人もいます。

 ただ人称が詳しく出るのは後半で前半はそんなことないんですよ。前半は景色の描写や立ち位置の描写ばかりで会話も短く淡白です。
 読み進める、面白くなる前の段階で誰が誰だかなられると困るので小技を仕込みました。

 言ってしまえば簡単です。
 相手の発言の後に人物の動きについて描写を挟み、主人公の発言ではないことを強調しました。
 あまり不自然ではないでしょう?
 静かなところで会話をしていて、相手の仕草ばかりに目線が行く経験。皆さんあると思います。

 この2つを使えればまあ混乱しない程度に整理された作品には出来ると思います。

 なので「〜が言った」みたいなのは思い切って捨てちゃいましょう、邪魔です。

 おまけとして、ですが。
 「私」「わたし」「ワタシ」なんかの表記が違うから対面させて沢山話をさせても平気だろう、みたいなのはやめましょうね。
 一文ごとに「私が」「わたしは」「ワタシの」なんて文章はリズムが悪いし幼稚に見えます。