足関節靭帯損傷後のスポーツ復帰決定に役立つ：PAASSフレームワークとは
あらゆるスポーツにおいて足関節捻挫は一番多い疾患であり、再発率も多いにも関わらず、明確なスポーツ復帰時期のガイドラインがありませんでした。
急性足関節外側捻挫後のスポーツ復帰は複雑な意思決定であり、構造化されたエビデンスに基づいたアプローチが必要です。標準化されたフレームワークの必要性を認識したMichelle Smithらは、安全なプレー復帰のための明確な基準を提供する国際的な学際的コンセンサスであるPAASSを開発しました。
この研究では、世界中のプロスポーツで働く医療従事者にアンケート調査をし、足関節捻挫からスポーツ復帰を決定するガイドラインが定められました。それがPAASSフレームワークと呼ばれるものです。
PAASSは、スポーツ復帰を決定する前に評価すべき5つの重要な領域について概説しています。
痛み ：重度、持続性、機能への影響
足関節の障害 ：可動域、筋力、機械的安定性
競技者の認知 ：自信、再負傷への恐怖、心理的な準備
感覚運動制御、バランス：神経筋協調、運動の質
スポーツ/機能的パフォーマンス ：スポーツ特有の動きと機能的能力
これらの要素に従うことで、情報に基づいたエビデンスに基づく決定を下すことができ、足関節捻挫の再発リスクを減らし、アスリートが最高のパフォーマンスで復帰できるようにします。
なぜPAASSフレームワークが重要なのか？
再発の予防： 最大40％のアスリートが、足関節捻挫後に慢性的な不安定性を経験します。PAASSは、競技に復帰する前に危険因子を特定するのに役立ちます。
客観的な意思決定： 時間ベースの回復に頼るのではなく、PAASSは機能的で個別化された評価基準になります。
集学的アプローチ： スポーツ医学、理学療法、バイオメカニクス、心理学の知見を取り入れています。
筋力や可動域の数字だけではなく、心理的要因も加味しているため、再発を防ぐ大きな要素にもなっています。
もし、スポーツ復帰時期について確信がない場合は、これらの要素を参考に一人ひとりの選手にあったペースで行ってみてください。