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冬の渡し舟登校の思い出  ふるさと 四万十川

私の生まれ育った故郷。高知の四万十川。上の写真の景色、のどかな場所で育った。

小学校にはこの四万十川を渡し舟で通っていた。朝7:30頃に集合し、冬は川面から靄が立ち上り幻想的な雰囲気の中、小さな和舟のろを手漕ぎで船頭のおばちゃんが漕いでくれていた。

高学年になると、ろの漕ぎ方を習って少しずつうまくなっていく。

川の流れのポイントを知り、その日の風を読む。

冬の下校時は、よくこれでもか!というくらい強く北風が吹いていて。舟の重心をとるため、この子はこっち、あの子はあっち、とおばちゃんが乗る位置を指定。風の音でその声もなかなか聞こえにくい。

おばちゃんだけでは大変だから、上級生のお兄ちゃんが助っ人。おばちゃんと力を合わせて、北風に向かって漕いでいく。

いつもはおしゃべりして呑気な子たちも、こういう日は、じっとして、舟が傾かないように静かに北風に耐えている。

風ってこんなに強く吹くんだなあと、冬の下校時よく思っていた。山の木々、竹林の竹が強風に吹かれてすごい音だ。

無事に向こう岸についた時の、安心感。ホッ。みんながホッ。

「さいなら〜」「バイバイ」

舟を揺れないように、おさえてくれてるおばちゃんに挨拶。

川原を歩き、畑を通って家路を目指す。しゃしゃぶを採ったり、ひっつきむしで遊んだり。わざと草むらの中を通ったり。みちくさし放題。

あの頃はまだ、薪でお風呂を焚いている家も残っていて、下校時ちょうど煙がそよそよと空にたちのぼって薪の燃えるいい匂いがしていたなあ。

冬の淡いオレンジ色の夕陽は、もうすぐ山に落ちていく。

ふるさと四万十川。

冬の登下校の思い出。





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