『   』 白洲正子

『「卯の花垣」と、長次郎の
「黒楽茶碗」どちらかを選ぶとしたら
 どちらを選ぶだろうか?』

白洲正子はエッセイの中で読者にこのように自問するように問いかけている。厳密な引用ではないですけどたしかどこかで書いていたはずだ。残念なことにこれがどの本だったかというのと、彼女が結局どっちを選んだのか?という結論をどうしても思い出せずにいる。そしてあれからなぜかこの問いだけが、僕の中でふくらんでいったのだった。

祖父母は京都に住んでいた。なので遊びに
行きがてらよく寺やら美術館を回った。
その時に楽美術館へ行き、長次郎の楽茶碗を
見ることにした。

彼はもともと戦国時代の瓦職人で、
千利休が国産の茶碗を作る時に、白羽の
矢が立ったのがこの長次郎という人物だ。
当時は油滴天目、曜変天目、大井戸、
小井戸と中国、韓国の茶碗が格上と
されていた。なので、クリエイター
の利休としてはそれにツマらなく感じた
ので一丁ヤッタレ長次郎ということに
なったのではないだろうか。

それはともかく、長次郎の楽茶碗を見たけど
見込みが深い。手に持ったらすっぽりと
手に馴染みそうな茶碗だ。なるほど、
さすが天下の宗匠に見出されるだけは
あるたたずまいだ。

それから月日は流れ、日本橋の三井記念美術館
へ行く機会があり、とうとう志野茶碗、
「卯の花垣」を見ることができた。
国産では光悦、不二山と並び
二大国宝茶碗の名器である。
白い花「卯の花」の生垣のようだと
いう理由でこの名がついたという。

志野にしてはめずらしく薄化粧だ。
飲み口がへしゃれているところは女性がみせる
おっちょこちょいのようなものと似て
どこか愛嬌がある。
このどちらかを選ばなければ
いけないとしたらどちらを選べばいいのか?
これはなかなかむつかしい。

マリリンモンローがいいか、
オードリーヘップバンーンがいいか?
伊勢谷友介がいいか、窪塚洋介がいいか? 
なかなかむつかしい選択だ・・・。

色白東北美人、卯の花を選ぶのか、
質実剛健、筋肉質イケメン
黒楽を選ぶのか・・・。

あなたならどちらを選択しますか?
一度機会があればこの2つを見比べて
見るのも悪くないかもしれません。


◼︎参考URL

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