『偽る人』(揺れる) (第87話)
とうとう・・・(1)
九十七歳の誕生日を過ぎて、三月の終わり、デイサービスの施設から電話があった。しばらく休んでいるので、登録を抹消されてしまうという。新たに登録し直すのはまた面倒なようだった。施設の人も、房子の体を考えて、迷っていた。
房子に訊いてみると、明確な返事がない。行きたいようでもあり、自信がなさそうでもあった。
房子はずっと風呂に入っていない。恭子が温めたタオルで体を拭いてあげているだけだった。施設なら、椅子に座ったまま湯に入る機械浴の設備もある。それを期待して