見出し画像

せんすい島とすうちゃん

私が手を振りながら
「それじゃ!また明日ね!カメちゃん!うーちゃん!」
うーちゃんも手を振り返し
「おう!明日寝坊するなよ!すう」
ムッとして
「うーちゃんじゃああるまいし!」
文句を言うと
「俺もしねーよ!」
私達を楽しそうに見てたカメちゃんが
「ふふ!そうだよね?うーちゃんは、いつも遠足の日は早起きだって、うさ美さん達が言ってたから大丈夫だよね?」
そう言うと、うーちゃんが
「母さん達だな!カメに余計な事を言ったのは!」
うーちゃんは、そう言うなりプリプリと怒りながら走って行ってしまった。
「…」
「…すうちゃん?」
「うん?何?カメちゃん」
振り返るとカメちゃんが
「明日うーちゃんと一緒に迎えに行くから」
私は言おうとした言葉を飲み込んで
「あ…うん、分かった!それじゃ明日ね!」
カメちゃんに手を振り走り出した。
「うん…また明日ねすうちゃん」
カメちゃんは何かいいたそうだったけど私は走った。
帽子のキノコが
「聞かなくて良かったの?」
立ち止まって
「うん、いいの!それより早く帰ろう皆待ってるし!」
そう言って私は家まで走った。

家のドアを開けるなり
「ただいまー!」
と大きな声で開けると一斉に
「お帰りー」
「帰ってきたー!」
「楽しかったー?」
私は買ってきた物をテーブルの上に置くと帽子になっていたキノコが
「すうちゃん!帰ってきたのなら手洗いとうがいをしないと!」
そう言う帽子のキノコをテーブルの上に置いて
「あ、忘れてた!ちょっと行ってくるね!」
急いで手洗いとうがいをして戻ると帽子のキノコはいつの間にか、いつものキノコに戻ってテーブルの上に居たそして
「今日は楽しかったねー」
と私もうんと頷くとお留守番していたキノコ達がソワソワと
「どうだった?」
「とっても楽しかったよ!これ買ってきたの」
と言うと
「見せて!見せて!」
と大騒ぎになった。
「フフ!良いよ!」
と私はお弁当の包みを開けてキノコ達に見せると
「これがお弁当箱っていうの?」
「これ食べれるのかな?」
「…美味しいのかな?」
興味津々に色々言ってるけど
「これ食べ物じゃないよ!食べ物を入れる容器だよ!でも使うのが勿体無い程可愛いだよね」
するとキノコがポンポンと跳び跳ねながら
「まぁ僕達のほうが美味しいから勝ったね!」
良く分からない事を言ってるのを無視してると
「食べ物を入れる容器?だったら明日の遠足に何の食べ物を入れるの?」
「キノコおすすめだよ!」
「!」
キノコの言葉にハッとした。
お弁当の中身なんて全然考えていなかった!どうしょう!
そもそも私はお料理なんてお母さんのお手伝いぐらいしかやった事が無い!
私が慌てふためいているとキノコが
「遠足って何を食べるの?」
「…え!うーん?」
小さい頃お友達がお弁当にサンドイッチを持ってきたのを見て凄く羨ましかったのを思い出した。
「サンドイッチとか…」
そう言うとテーブルの上に置いてあったお弁当箱がポン!と音を立てた。
「え!何の音?お弁当箱からしたけど…壊れちゃった?」
恐る恐るお弁当箱を持ち上げると、なんか重い?
お弁当箱の中に何か入ってる?と蓋を取ると中に、ぎゅうぎゅうに詰まったサンドイッチがある
「これってサンドイッチ?本物かな?」
言うとキノコ達が
「これが?」
と不思議そうに覗き込んでる…私が
「本物だ…」
私の言葉にキノコ達が
「サンドイッチ?」
「キノコ入ってる?」
「キノコサンドイッチ!」
と騒いでる
試しに一つ取って見ると玉子サンドだ。
他もカツサンド野菜サンドそしてフルーツサンド私の大好きな物ばかりだ。
「……!」
嬉しい!けど…こっちの世界でこんな事ばっかりだけど…これが普通なんだろうか?
こっちの世界に来て、ご飯の事で困らないのは良いけど普通が分からないのが困りものだ。
キノコが喋るのが普通だと思ってたらカメちゃんとうーちゃんにビックリされた事にビックリしたのを思い出した。
私は、うんと頷きお弁当箱に蓋をして
「よし!明日のお弁当はこれでいいか!」
あまり深く考えるのをやめた。
考えても答えなんて出ないし
次は水筒だけど中身は別に水でもいいかと水筒を手に取ると水筒にタグが付いてる
何だろう?値札?こんなの付いてたっけ?とタグを見ると何か書いてある
「何が飲みたいの?」
「ん?何これ?」
タグを外そうとしても取れないと言うかタグに触れない…何で?
そのその何が飲みたいの?ってどういう事?もしかして質問されてるんだろうか?試しに
「ぶどうジュースが飲みたいな」
そう言った途端水筒が重くなった。
試しに水筒を振るとチャプンと音がする
恐る恐る蓋を開けて中身をコップに入れて匂いを嗅いでみるとぶどうジュースの匂いがした。
そして一口飲んでみると
「あ、美味しい…ぶどうジュースだ」
どうゆう事?するとタグに新しい文字が読んでみると
「美味しい?もっと飲む?」
と書かれてる
「え?もういいよ」
言うと水筒が軽くなってる!
中を覗くと何も入って無い、そしてタグを見ると
「何が飲みたい?」
に戻ってる…これはもしかして飲みたいものを言うと、それが飲めるって事なんだろうか?
だったら逆に水筒の中に水を入れるとどうなるんだろう?
私は台所に行って水道の水を水筒に入れて見た。
しばらくすると水筒からゴクゴクと音がする
「?」
何の音だろうと水筒の中を見ると水が無くなってる
「…え!」
飲んだ?ビックリしてるとタグに何か書いてある…見てみると
「喉が渇いてたからお水ありがとう」
飲んだ?うそ!ビックリしながら
「えっと…もっと飲む?」
聞くとタグに
「もう大丈夫だよ!」
「だったら何か食べる?」
聞くと
「私水筒だから食べないの!」
成る程?よくは意味が分からないけど、そういうものなんだと納得する事にした。
考えても分かんないし私は水筒に
「あの水が欲しかったら何時でも言ってね?」
「ありがとう!」
「私の名前はすうって言うの!なかよくしてね?」
「すうちゃん!これから仲良くしてね?」
「うん!」
と答えて私はテーブルの上に明日のお弁当と水筒を置くとキノコ達がソワソワと私を見てる
「!」
私はアッと思い出し急いで絵本を取り出してテーブルの上に置くとキノコ達が
「すうちゃんそれなに?」
「これは絵本だよ」
「絵本?」
「うん、目の見えない女の子が旅をするお話なんだって!」
「うわ!面白そう!」
「でしょ?じゃ早速!」
読もうとするとキノコ達が
「その前にお風呂とご飯にしようよ」
そう言われてみれば帰ってきたままだ
それにお腹がグーと鳴った。
お腹を擦ってると
「すうちゃんお風呂とご飯終わったらでいいから絵本読んでくれる?」
「分かった!」
と私は急いで、ご飯とお風呂を終わらせてパジャマに着替えてテーブルの上にあった絵本を持って2階の寝室に急いだ。
そしてベットに座るとキノコ達は横に揺れながら
「楽しみー!」
「うんー!」
「どんなお話だろうー!」
「それじゃ読むね!」
私が早速絵本を開くと、いきなり女の子が飛び出して来た。
「うわ!なにこれ!」
とビックリしてると女の子が綺麗なおじきをして
「今から始まるお話は私の冒険のお話です。どうぞお楽しみにください!」
女の子がそう言うとページが進んだ。
目の見えない女の子は色々な人に助けられ時には助けて行くお話で終わった。
今まで黙っていたキノコ達が
「凄かったね!」
「うんビックリした!」
「楽かった!」
私も頷き
「このお話面白かったね!」
そう言うと絵本が私の手元に落ちて来た。
あれ?と思ったけど
「ふわぁー」
疲れが出たのかあくびが出た。
「すうちゃん眠い?」
「うん…」
キノコ達に
「もう寝るね?」
言うとキノコ達も
「おやすみなさい」
「おやすみ」
「すうちゃん良い夢を」
私は絵本を抱きしめたまま眠ってしまった。