あなたはスパイス?それとも・・・!?ゴラカで作るスリランカカレーのごはんの友
昨日3月8日は、国際女性デーの影に隠れた記念日「サバの日」でした。
無類の青魚好きのわたし、サバを買わないわけにはいかない。そして買ったからには…大好物のアレ作ろう。
酸っぱい魚料理
スリランカは魚天国。サバもよく食べます。サバカレーもとっても美味しいのですが、今回は別のスリランカ料理に。
その名は「アンブルティヤル」
シンハラ語でアンブルとは「酸っぱい」、ティヤルとは「魚料理」のこと。
スリランカ南部に伝わる郷土料理で、酸っぱい魚の煮付けのようなものを想像していただくとぴったりかと(そのままですね)
わたしはいつも「スリランカ版・魚の佃煮みたい」と思いながら食べています。スリランカカレーの副菜にもおつまみにもなるので、まさに佃煮的存在なのです。
初めて食べたのは、コロンボのおしゃれなレストランで。「なんですか、これは!!!」と衝撃を受ける美味しさで、以来アンブルティヤルの虜になりました。
(写真)前衛的なスリランカ料理を発信するレストラン「キャーマ・スートラ」にて。初体験のアンブルティヤル(左下)は土鍋でぐつぐつさせながら提供されました。パフォーマンスの一種だったのかも。
ゴラカの魅力
アンブルティヤルに使う特徴的なスパイスが、今日の主役「ゴラカ」。ガルシニア(ラテン名)とも呼ばれ、オトギリソウ科フクギ属の常緑樹から採れる実を乾燥、薫製させたものです。独特の酸味があり、スモーキーな芳しい香り。
(写真)アンブルティヤルの味の決め手ゴラカ(左)とブラックペッパー(右)。黒く干からびたような見た目のゴラカ…これ、ほんとに食べられる!?
スリランカ料理ではアンブルティヤルやカレーにと頻繁に使うゴラカ。しかし驚くことに、わたしの愛用する「世界のハーブ&スパイス大事典」(ジル・ノーマン著 水野仁輔監修・翻訳/主婦と生活社)にも載っていませんでした。いままでスパイスの一種という認識でしたが、「植物の実」だからハーブ&スパイスには分類されないのかしら!?
(写真)マンゴスチンもゴラカの仲間
乾燥した状態ではカチカチで固いので、水にしばらく浸けて柔らかくした後で細かく刻んだりペースト状にすり潰して使うと扱いやすいです。ゴラカを浸けた水で魚を洗うと、臭み消しにもなります。ただ、カレーを作る際はそのまま鍋にポンと入れることも多く、事前の処理はあまり神経質にならなくてもいい気がします。
アーユルヴェーダではゴラカが胃の酸性状態を緩和するとされ、胃潰瘍の治療にも使われてきました。また、ヒドロキシクエン酸(HCA)という活性物質が含まれ、食欲と脂肪合成を抑制するのでダイエット効果もあるそう。食いしん坊のわたしにうってつけのゴラカさん(注:酸とかけています)
さあ、作ろう
スリランカの家庭では、土鍋(ワラン)やアルミ鍋で調理するのが一般的ですが、アンブルティヤルを作る時は酸の強いゴラカをふんだんに使うためアルミを避け、必ず土鍋で調理します。
ここからは現地の作り方をご紹介。
土鍋(ワラン)にランペ(パンダンリーフ)を敷き詰めます。もっとも日本だと手に入りにくいため、こんなに贅沢には使えません(涙)
魚にゴラカのペーストやブラックペッパー、カラピンチャ(カレーリーフ)、青唐辛子、塩などを合わせかぶるくらいの水を入れて火にかけます。そして、煮汁がほぼなくなるまで煮詰めていきます。
市販品でペースト状のゴラカも売られていますが、塩が入っているため調理時の塩分調節が必要です。もっと手軽に楽しみたい場合は、アンブルティヤル専用のミックススパイスなんてのも売っていました。
完成の図。しっとりした感じもGood。ゴラカの酸味とブラックペッパーのしびれる辛味、これが相まってついご飯が進みます。まさに「ごはんの友」!
この料理、酸味が防腐剤の役目も果たし熱帯の当地でも冷蔵庫に入れず1ヵ月以上の保存が可能だそう。また保存食の役割以外にも、お祝い事や法事などに欠かせない料理でもあります。
日本でゴラカが手に入らなければ、梅干しでも代用が可能。これから気温が上昇する季節に向けて、アンブルティヤルに限らず酸味のあるさっぱりしたカレーを作りたいときなどゴラカをぜひ取り入れてみてください。
おまけ
昨年スリランカカレーのイベントを開催した際、ある参加者の方がゴラカを嗅いで「これだけは好きになれん!おっさんが汗かいたTシャツ放置した匂いや!」と。
…そのように感じる方もおられるようです。香りの趣向も十人十色。「芳しい香り」というインプットは一旦外していただいた方が良いかもしれません(笑)