「いい姿勢」は痛みの原因
「楽な歩きかたを教えてほしい」というご依頼で、アレクサンダー・テクニークのレッスンをしてきました。
その方は1年ほど前に膝を痛め、日常生活に支障のない程度に回復したものの
継続的なケアやストレッチ等が必要といわれているとのこと。
生活の中でより悪化を防げる方法があればというご希望で初めてのATレッスンを行いました。
最初に見た時から、背中の下部と膝が動いていないなー、という印象を持っていました。
(ここで言う「動いていない」は、目的の動きにおいて合理的な動きを考えた時に
全身のバランスの中で動きが少ない・あるいは不要な力が働いているように見える というような意味合いです)
まずアレクサンダー・テクニークの根本である「頭と脊椎の関係性」「全身の協調」などについて説明してから
「歩くときに意識していることはありますか?」と尋ねたところ
TVで「かかとをしっかりおろして歩くように言われているのを見た」ということで
かかとから力をかけて足をおろしているとおっしゃいます。
なるほど。
かかとを強く意識することで、膝の動きが減っているのかな?と思い
「歩く時に膝が曲がってリードしてくれることで前に進める」というイメージをご提案してみました。
頭が最初に動くことを考えつつ、このイメージで歩いてみてもらったところ、
「歩くときの感覚がだいぶ変わった」とのこと。
最初よりもスイスイなめらかに進んでいく印象がでています。
しかし、生徒さんの表情や全体の印象から、どこか不足感をもっていらっしゃることも感じられました。
もう少しお話を伺ってみると「歩いているうちに腰が痛くなってくることが不安」ということでした。
実際(背中側の)腰のあたりに余分な力が入っていることは動きとして見えていたので、
お話をしつついくつかご提案をして、何度か歩いてもらいました。
特に「お腹の力を抜いてみる」というアイディアは楽に安心して歩ける感じを持たれたようでしたが、ここで今日のキーワードがとび出します。
「いい姿勢の感じがしないけどいいのかしら…」
↑これで歩行によって腰痛が起きがちな理由が分かりました☆
この生徒さんにとって「歩く」と「いい姿勢」は強く結びついていて、
かつ「いい姿勢」は肩を背中側に引き、胸郭を上に引き上げるようなイメージで体現しているものの様子です。
そのバランスを保つために腰まわりの筋肉を使い、動きを減らしているのだな!ということが見えてきたので
「いい姿勢」の定義とは?についてご本人と話をしつつ、
鏡を見て、どのくらい「悪い姿勢」に見えますか?そうでもないですよね?というのを確認してもらいました。
結果的に「楽な感覚で歩いても姿勢は悪くない」という理解をして頂けて
だったら腰にも膝にも負担の少ない歩き方を選びたいよね♪という結論に至ったのです。(よかったー
自分の考えていることは動きになって表れてきます。
今回のように「いい姿勢」のイメージを歩く時に習慣的に持ち続けることで
実際歩く際には必要のない方や胸の動きをつくり、対価として腰痛の不安がつきまとう形になっていたんですね。
実際に自分がやっていることと「いい」のイメージの差異や、本当にその動きが必要なものなのかの精査がないと
「いい姿勢」は「痛み」につながりがち、ということがよくわかる例でした。
読んでくださりありがとうございます☆サポートで美味しいコーヒーショップのミルクティを飲んで、またよい記事が書けるようにお勉強します!