見出し画像

女は思い通りになるって信じてるの?

1年ほど前、柚木麻子さんの「BUTTER」を読んだ。
新刊で発売された時から直感的に「読んだ方がいい」本だという気がしていて、でも同時に「私には強すぎる」気がして手に取れなかった。
女性であることのどろっとした感情が詰まっている気がした。
そしてそれは、HSPで感情を同化させやすい自分には、作品として持っている力がきついのではないかなと。
読んでみたら、やっぱり予感は外れなかった。

「--みんな女を憎んでいるような気がする。」
「女は痩せていなければお話にならない、と物心ついた時から誰もが社会に刷りこまれている。」

こういう文が自分の中に入ってくるたびに、少なからず女性として生きていることが苦しくて、気持ちが沈んでいく。
そういう(いい)意味で、ものすごい作品だと思った。

同時に、何の関係もないのに、何年か前に同級生に言われた言葉が頭にチラついて離れなかったので、どうしてこんなに気になるのか、一度整理をしてみようと思ったのが、今日のお話。

同級生との食事で、引いた一言

同級生の男の子(男の子というには向こうも私も年齢がいきすぎてるけど)と久しぶりに飲み会をした時のこと。
お店が普段の私の生活圏とは服装の種類が違う地域で(なんで渋谷と六本木と丸ノ内で服が違うんだ!)多少そのことも気にしつつ、このくらいならギリギリOKかなという服を選んだ。
今でもトップス・ボトムス・靴・鞄、全部どれだったか覚えているし、全て大切に着ている。
私なりに一応、気は遣って選んだんだ。
なのに。
先にお店に着いていた同級生に「久しぶりー!」と挨拶をした途端、開口一番彼が口にした言葉は「なんかさらさん、服の趣味が変わったね」だった。

BUTTERを読みながら、女性に対する男性の見下しや女性の軽蔑の感情に触れるたびに、この時の相手の表情や周りの景色がやたらと思い出された。

境界線を越えてくる言葉

相手は学生時代から特に異性に対して気のきいた言葉の使えるタイプの同級生でないことはよく知っているし、多分、思ったことがそのまま口から出ただけだと思う。
どんな感情でその言葉を発したか、本人の方が私より無自覚だったに違いない。
だけど、私にはその言葉の向こうに「俺は学生時代の服の方が好みなのに、なんで今は違うんだ?」という感情がはっきり見えてた。

その時は「また思ったことそのまま言っちゃってるなー」くらいの気持ちだったように思うけど、なんで今でもはっきり覚えてるんだろう?恨んでる?嫌だった?傷ついた?どうしてこの本を読んでると思い出すんだろう?とずっと何かが引っかかってた。

思うに、同級生の言葉は個人としての「ラインオーバー」をしている。
自分と相手は別の独立した人間であるという前提に立っていれば、この発言をしない、もしくは別の言い方に変えるはずだもん。
別の同級生たちに似たことを言われた時は
「久しぶりー。なんかさらさん、雰囲気変わったね。仕事の関係かなー新鮮だなぁ」(言葉を選んでいるVer.)
「おーさら昔と服の感じ違うじゃん!前のが好きだけどそっちのがさらっぽいわ」(本心Ver.)
みたいに、私の変化と自分の視点や感情を分けた(分けようとする)発言をしてくれていた。

境界線を踏み越えてしまうのは

私が引っかかりを覚えたのは、
・人は変化するものなのに、自分のイメージや過去の中に相手がとどまっていると無自覚に思っている
・自分の思い通りの相手でいてくれるだろうと根底で信じている

と感じられる発言だったから。

変化がいいものかそうでなかったのかの判断を急ぎすぎて「今までと一緒」にしがみついてるんじゃないかなと。
それなのに、なんで私の方が「不正解」みたいな言い方をされなきゃいけないわけ?えっなんか気持ち悪い!みたいに感じるんだと思う。

相手が男性で私が女性だからというのも、引っかかった理由かもしれない。

パートナーの趣味に合わせて服を変えたことは一度もないし、私の服装について相手の好みを反映するよう言われたこともないのに、お付き合いもしてなければ滅多に会うこともない友人にそんなこと言われたくない!という気持ちが山ほどある。
一方で、何となく社会的に、男性受けのいい服を着るべきとか、社会人の女性っぽいおしゃれをすべき、みたいな謎の「べき」論にじわじわ染められている自分もいるわけだ。
カジュアルで着心地のいいものを選んでる今の自分のことを、わりと気に入ってる。
その割に、「このエリアはこういう服じゃないんだよな…」と思いながら服を選ぶ私は、TPOを気にしてるというよりは、べき論や周りとの差異を気にしてるんだと思う。
挙句「昔と違う」なんて言われて「ここに合わない服なのも昔と違うのも分かってるし!」って、傷ついたのかな。
自信のなさに追い打ちをかけられた気がしたのかもしれない。

ラインを越えてこられても、単に「あなたはそう思ってるんですねーでもそこ、私の範疇なんで☆(無視!)」と思ってにこにこしてればいい。
それ以上に気持ちが悪いと感じたのは、私が周りと比較して自分のことを決めてしまうところに問題があるんだと思う。
比較してマイナス点をつける癖をやめて、相手の発言と自分を切り離せていれば、何の問題もない。
時間が経過して少し遠いところから眺めたら簡単な話だった。

まぁでも、あの発言は普通に、引くよね(笑
明らかにがっかりしたような、俺の好みじゃないしそれ、みたいな顔は、鏡で見せてあげたかったくらい。
女は何も言わなくても自分の思い通り好みの通りでいてくれると思ったら、大間違いだからね!

そうだ。BUTTERを読んで、女性が女性に向ける目線の向こうに、男性の目線みたいなものを感じて、この時のことを思い出したのかもしれない。
じゃあ、一蹴してやるだけじゃん^^

#note #コラム #女らしさ #自己肯定感 #比較

読んでくださりありがとうございます☆サポートで美味しいコーヒーショップのミルクティを飲んで、またよい記事が書けるようにお勉強します!