カレーパンから始まったFDBストーリー
皆さん、こんにちは。SARAH編集部の山中です。急に冷え込んできましたね。寒くなるとより一層美味しくなる食べ物ってありますよね。おでん、鍋、…。私はあんこう鍋が好きで今から楽しみです。
さて、前回はCEO高橋による引越しへの想いをお伝えしました。noteを再開してから2回目となる今回は私たちのサービスについてご紹介します。
おいしい一皿が集まるグルメコミュニティアプリ「SARAH」は2015年に誕生しました。「ポテトサラダ」「麻婆豆腐」といったメニュー単位でユーザーが食べたいごはんが見つかるアプリです。
2020年デリバリーメニューにも対象を広げました。「Chompy」「fineDine」「menu」「Picks」といった主要なデリバリーサイトと連携し、SARAHアプリ内でテイクアウト、デリバリーメニューを横断検索できます。連携先のアプリから注文が可能になりました。おかげさまで累計投稿数が80万件を超えるまでに成長できました。
そして企業向けに外食ビッグデータサービス「FoodDataBank(FDB)」を開始しました。今回はこのFDBにスポットライトを当てます。どのような想いで開発されたサービスなのか。どんなことができるのか。こちらも2回に渡ってお伝えいたします。お話を伺うのはFDB事業を率いるプロダクトマネージャーの倉内彰さんです。倉内さんはこれまで営業責任者やPMなど幅広い職種を経験した後に2019年にSARAHに入社されました。穏やかな話し方でありながらも、鋭く切り込んでいかれるのが印象的です。SARAHにおけるFDBに込めた想いをじっくり語ってもらいました。
それでは、どうぞ。
――FDBはどのような経緯で開発が始まり、どのような機能があるのかを教えて下さい
倉内:私は「商品開発を科学的にすることで作り手の想いを消費者へ届けたい」という想いでこのプロダクトの開発と発展に取り組んでいます。FDBはグルメコミュニティアプリ「SARAH」に投稿された80万件以上の投稿情報を元に、消費者がどのようなメニューを食べてどのような感想を持っているのかを分析できるサービスです。メニューの単品で情報を収集しているため、細かく精緻な分析ができることが特徴です。
「全国の飲食店で何が食べられているか」や「おいしいと思われるメニューの傾向」などを分析し、今まで気づかなかった素材の組み合わせや、世の中のトレンドの傾向を把握できます。
飲食店や食品メーカーの商品開発担当者が調べたいキーワードを入力すると、そのキーワードに合致した投稿が抽出されます。さらに、投稿内レビューの中で使われている言葉やメニュー自体の評価点も紐付いているので、どのようなキーワードの組み合わせで評価や満足度が高まるのか調べられます。
さらに、ユーザーが投稿した写真やコメントのほか、評価といった詳細な情報まで確認できます。数字や文字ではわからない「盛り付け」「彩り」「ボリューム」「提供方法」などまでが分かることで「どういったメニューを食べてそう感じたのか」を確認できます。
――過去のデータ活用の中で、印象的な事例を教えてください
実は最初のきっかけはカレーパンでした。ある食品メーカーではカレーの味を改良して美味しくしてもなかなか売れないと悩まれていました。データベースを見てみると、カレーパンに関する投稿のなかで「衣のサクサク感」に関する言及が多く、食べた人はパンの食感に注目していることに気づきました。サクサク感を重視した商品に仕上げたことで、ヒット商品へとつながりました。
カレーパンの中に、カレーやじゃがいもが入っているという事実といいますか、物質的な情報はたくさんありますが、「美味しい」「辛い」といった情緒価値がわかる仕組みがないということに気づきました。
カレーパンを例にすれば、カレーパンにも色々な種類がありますよね。見た目も味も形も。作り手の皆さんに共通していることはお客様に「美味しかった」と満足していただきたいという想いです。ならば、データを活用すればより消費者に満足してもらえる近道があるのではないか、と。FDBは「儲かる商品づくり」の魔法ではありません。商品が売れるかどうかは、作り手が丹精込めて作った味で決まります。そのヒントをお伝えするのがFDBなのです。
FoodDateBankのカレーパンの検索画面
――商品開発に科学を取り入れるとどう変わるのでしょうか
倉内:消費者視点で商品づくりができます。「美味しい」という定義は人それぞれで曖昧です。ヒアリングしても限られた人の意見でしかありません。そして今100点でも、半年後もその評価が続いているとは限りません。環境や時代に応じて、人の嗜好も変化していきます。
ヒット商品に辿り着くまでのプロセスは、担当者の経験と勘に委ねられているところが大きいです。思考プロセスが文書に残されていることも決して多くはなく、担当者が変わるとゼロからやり直しとなってしまいます。そのような状況では試行錯誤に時間がかかるばかりでなく、成功確率も低くなります。例えば、唐揚げと一言で表現しても様々な種類がありますよね。「唐揚げといえばこの味」と絞り込むのは難しいと思うのです。食の難しさであり、面白さでもあると思います。
FDBは商品開発の現場に消費者の声を直接届ける仕組みです。これは我々のミッションである「より善いごはんとの出会いを作る」ということでも大事な役割を果たします。アプリとしての「SARAH」はより善いごはんとの出会いを目的としています。
ユーザーが情報を見て店を探すように、作り手も消費者の嗜好を理解するためにFDBを使って分析を進めれば無駄撃ちすることがなくなります。FDBの取り組みが進めば、フードロスの削減にもつながるのではないかと、期待は膨らみます。
FoodDateBankの導入事例はこちら
――飲食店のデータ活用は進んでいますか。
倉内:これからですね。経営には「人、物、お金、情報」が重要と言われています。調理の現場では設備投資や食材へのこだわりなどにコストをかけていることが多いように感じています。しかしながら、情報にはなかなか力を入れていないのが現状です。現状で情報に投資するといえば、集客サイトですね。お客様をお店へ誘導するための情報への投資はしている飲食店も多いかと思います。でも、商品開発における情報への投資はまだまだです。常連客の話やシェフの頭の中にあるノウハウくらいしか情報としてはありませんでした。
これでは商品の売れ行きを効果検証をするにもPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルが回せません。商品開発担当者の皆さんは想いが強い方が多いです。FDBは消費者が実際に口に入れた商品の情報を扱っています。FDBを検索しランクインしているお店へ実際に足を運んで頂く。「これがいまお客様が求めている味なのか」という小さな成功体験を積み上げていき、ご自身の開発スタイルに変化をつけることこそがデータ活用が進む近道だと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか?
FDBのデータ活用が「よりよいごはんとの出会いを作る」機会により繋がることを期待し、マーケティングやセールスに私たちも取り組んでいます。
次回は、FDBの実践的な活用法について触れていただきます。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
おいしい一皿が集まるグルメコミュニティアプリ「SARAH」 企業向け外食ビッグデータ分析サービス「Food Data Bank」 運営 株式会社SARAH