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寅年 双子座 AB型

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最近の記事

『一晩の夢』

 3ヶ月半の高野山での生活が終わった。高速バスで名古屋あたりを揺られているところだ。 7月に踏み出した行き路を逆方向に進んでいく。その淡々とした風景を車窓から眺めていると、まるでこの数ヶ月が一晩の夢であったかのような、そんな錯覚を覚える。 長い夢から今まさに目を覚ましたところであるような。 …むしろそう考えた方が自然のような気もする。 昨日を思い出すことに丸一日かけるなど不可能だ。時間は不思議だ。非可逆的。情緒的。 …一年だって、さらには人の一生だって、夢かもしれな

    • 『雨が、そして太陽が…』

       仰向けになったコガネムシをひっくり返すのが夏の主な仕事であった。 気づけばすっかり秋に。今度はハチの動きが活発になり、お寺の中に迷い込んだ彼らを虫網で捉えて庭に逃がす毎日。 季節が変われば仕事も変わる。自然の成り行き。 ふと思い出す。 大学に入学し、はじめて読まされたテキストがフランクルの『それでも人生にイエスと言う』だった。 悩むことだけは一丁前な少年。自己啓発を連想させるタイトルや極めて共感しにくい内容から忌避感を覚えていたような気がする。 しかし時は数年経

      • 『慈恵の涙』

        難波のブックオフで偶然見つけた、藤原新也『西蔵放浪』。 下巻しかないのが妙に気になったが迷いは無用、200円で購入。 読み進めると、チベットの土地に伝わるというある神話の記述があった。 一、その昔、この地の天上を支配してる神様が居たのである 一、天上から、生きものの居ない干上がった不毛地を眺めていて不憫に思ったのである 一、そして、下界に向かって慈恵の涙をぽつりぽつりと落としたのである 一、不毛の地に、小さな湿った部分ができたのである 一、そこに緑ができたのであ

        • 日晷 0811

          朝 コガネムシがひっくり返っていたので助ける。 ほとんど瀕死状態であるようで、弱々しい。 おそらく寿命は今日だろう。 それでもなお手足をゆっくりと動かし続ける姿に痛々しさを感じる。 身体を動かす原動力、それが自らの意思によるものではないことは明白だ。 生命である、という以上の理由はそこにはない。 夜 仲良くなった地元のおばさんと喫煙所で小一時間話をする。 弥勒菩薩、下生信仰のことを聞く。 1200年前と現在では明らかに時間の流れが違っている、56億7千万年

          ー夢と同じ…

          ー夢と同じです… 手元の本の一説にそうある。 日々は夢の如く。 夢から覚めたときのあの不思議な心地はなんだろう。 それは残像としていつまでも視界をかすめとる。 昨年の景色、今年の景色、そして来年の… 数分前、鋭い声を発しながら一人歩く老人の姿を見た。 彼もまた夢を見ている。 ー近くで鐘の音。 …反響はまだ体内を彷徨っている。

          ー夢と同じ…

          日晷 0731

           休日、散歩をする。 山全体が寺であり、街である。 歩く途中にも鐘の音が聞こえてくる。 一切意識せずとも身体で聞いている、そんな感覚だ。 お地蔵さんに一礼をし、写真を撮らせてもらう。 帰り道、いつの間にかひぐらしの声が聞こえ始めていた。

          酷暑と涼しい眼

           ジェームズ・ベニングやリチャード・セラ、広い意味でのミニマリズムに傾倒していたところに今の山での生活がやってきた。掃除やシンプルなご飯。その繰り返しが好ましい。 服と本はかなり処分したところだったので、今後ますますミニマルさへの志向を強めていく予感がしている。  絶えず移動し続ける生活の際に、ネックとなるのは荷物である。 とにかく通気性のいい服と靴(そもそもサンダルオンリーでいい)、その他日用品も必要最小限に抑え、身軽にしたい。 暖かい地域で過ごすことは大前提。むげ

          酷暑と涼しい眼

          日晷 0723

           避暑地。心が洗われるような思い。 ひぐらしの鳴き声を聞きながら掃除をする日々。  中国のヤマザキパン工場みたいな動画に何故かハマる。

          (初)大阪探訪記 7/13〜15

          7/13 午前  とにかく蒸し暑い。仰々しい荷物を預けるべく、見つけたのは新世界の200円ロッカー。  使えるのか使えないのかも分からないこのロッカーに強引に荷物を詰め込み、小銭を入れる。  異常に硬い鍵を施錠。どうせ大したものは何もない。戻ってこないならそれまでだ。とりあえず置かせてくれ。暑い。 (書きながら気づいたが、「2023年」との表記が。使うべきではなかったようだ。) ※荷物はのちに無事回収できた 午後  新世界を超え、動物園前駅。西成へと向かう。  はじ

          (初)大阪探訪記 7/13〜15

          (初)大阪探訪記 7/10〜12

          7/10  準備が全く捗らず、前日1時間の睡眠で昼行バスに乗る。しかし愛知のディストピア的風景に心打たれ、長い移動の車中でも1時間ほどしか寝れない。  難波の激安ドミトリーに到着しひとまずビールを飲んでいると、友人(マシ)から電話がかかってくる。その押しの強い口調に負け、あるいは初日の高揚感からか、来て早々に片道1時間かけ京都・河原町へと向かう。  チェーン店こそ素晴らしい、というのはお互い言うまでもなく以心伝心、鳥貴族へと吸い込まれた。  寝不足にメガ金麦は危険な兆候と察

          (初)大阪探訪記 7/10〜12

          『日晷』

             泥酔、泥酔、灼熱、泥酔。   泥濘、安寧、泥濘、泥濘。   酒、酒、酒。水。  鏡、鏡、鏡、直視。 以上昨日。異常。気性。気象。起床。  煙、煙、煙、煙草。   水、水、水、曜。   荷造、荷造、洗濯、荷造。    随筆、随筆、随筆、回想。

          日記0621 「クイズミリオネア」

           緑道を歩いていると、遠くにラジカセで音楽を流し散歩する老人が見える。微かに聞こえてくるのはアメリカのヒップホップ。ずいぶんイケてる老人だな、あるいはラジオでも聞いてるのかな…などと適当な推理をかましているうちに音は近づく。やがて老人とすれ違い、聞こえていたのがボブ・ディランの『Like a Rolling Stone』であったと判明する。小型のラジカセは低域が一切出ないからヒップホップもボブ・ディランも全く同じに聞こえる。音源が遠ければ尚更だ。「ラジカセ老人におけるドップラ

          日記0621 「クイズミリオネア」

          日記0601

           大昔、恐竜は自らのことを「地球上で最も賢い生き物」だと思っていたに違いない。  そしてそれから一億年後、人間は自らのことを…  日高屋がチゲ味噌ラーメンの提供を終了し、夏がすぐそこにきていることを実感する。田んぼの畦道…24時間営業…ひぐらしの鳴き声…半チャーハン…  あそこで飲む緑茶ハイは他とは違う奇妙な味がする。粉っぽいというか粘性があるというか。たぶん粉末の緑茶を適当に薄めて酒と混ぜてるんだろうと思う。マスカットを思わせるあの爽やかな緑は夏によく合う。 "巨大なミ

          埃をもとめて

           髭のない宮崎駿を一目見てみようと小金井公園を散策し(目撃情報稀にあり)、田無駅に辿り着くとチェーンのカフェに入る。  "まちゃまちゃ"みたいなパンチの効いたおばさんがいて明らかに喫煙目的だと分かる。  小倉利丸の文章を読み進め、目が疲れたのでYouTubeにてナミビアの砂漠の様子を見てみる。  ダチョウだ。結構多い。  気温24.1°ということはちょうど今の東京と同じだ。  まあまあ暑いが心地いい。それはダチョウだって同じだろう。  ふと、来年アフリカに行ってみようか

          埃をもとめて

          『Namib Desert』のススメ (映画におけるミニマリズム)

          ジェームズ・ベニング『Sogobi』  昨年、渋谷イメージフォーラムにて。映画におけるミニマリズムという新たな視点を得る。  メディテーショナルな映画体験だった。視覚的に退屈な情報が続き、気づくと聴覚が敏感になっていた。風の音、波の音、車や船の音…どれも気にかかって仕方がない。  やがて数十分経ち、今度は視覚も明らかに変容していた。些細な画面上の動きに脳のセンサーが過敏に反応する。  33:45〜36:08までのカット。船が海上を通り過ぎるシーン。  文字で見るとシン

          『Namib Desert』のススメ (映画におけるミニマリズム)

          『うたた寝』

           妙にドロドロとしたサイダーを飲み、気づけばもう夢見心地だ。  足先はじんわり、思考はのんびり、ライトは断じて暖色がいい。 やたらと思い出すのは少年時代。 けれど過度なノスタルジーには注意が必要。  "チキンライス"、"Moonchild"、"カントリーロード" そして、"名も知らぬボサノバ"…  とにかく小さい音であればあるほど良い。なんならボリュームはゼロでも構わない。  狂乱の騒ぎとは全く無縁のうたた寝。 "傾眠"は素晴らしい。人間何ごとも寝たら忘れる、しかし寝ないと覚