題名 「心の傷痕」
増えていく度
強さと弱さを身につける。
波は押し上げ
波に深く沈み
高低の砦は心を生み出す。
揺れ動き削られて
ひびが伴い
それは砕かれて灰になり
何も無くなる廃墟の地から
俯き踞りながら
時折顔を上げては
陽の光をじっと待ち
透き通る水が
心の奥へスッと落ちた時
根を張るように命は繋がれる。
生を追うことは
傷痕を一つずつ増やしていき
溜め息が漏れた中へ
夢と現実が込められて
その奥を見据えるように
塞ぎ込む姿の元で
再び立ち上がっていく。
紗羅
頑張れの言葉から逃げ出し
前を向けと背を押す言葉は避けて
傷ついた時
何も届かずにすべてが跳ね返る。
でもその傷がないと
何処へもいけないから
傷痕に変えて忘れず残していく。
傷のままじゃ痛くて動けないし
いつまで経ってもトラウマが消えない
でも傷を消してしまったら
また同じことを繰り返す。
癒すことは薬のように
一時的な良さは発揮するけど
最終的には心の継続が出来なくなってしまう。
人は物事を考え感じ取り
その思いを広げて生きていくことで
いろんな気づきを得ながら
抱えた傷がこれからの自分に役立ち
乗り越えて立ち上がるきっかけを作る。
この傷が自分を思い
誰かや何かを思う心に繋がっていくから
残した傷痕に時折悩まされても
これは人生の織り込み済。
未知の生を全くするように
いずれは死を迎え
この体と心が無くなるのであれば
生きているこの短い時くらい
悩んで、葛藤し、努力し続けていたい。
増える傷痕が
どんな言葉も跳ね除け
傷ついた思いを断ち切っていく
そう思いながら
今の自分を生きている。