クリムトのおばあちゃん
クリムトのおばあちゃんがいた。
銭湯に。
カッコいいと思った。
クリムトの接吻の絵のエコバックを持っていた。
自然に声をかけていた。
おばあちゃんクリムト好きなん?
す。き。
ひらがなで聴こえた。
大きく曲がった腰を少し立て顔を上げる。
白髪頭の上から言葉をかけてしまった。
おばあちゃんはクリムトのエコバックから着替えの服を出していた。
あげた顔からは笑みが溢れていた。
幼子のような笑顔だった。
なんだかそれだけで満足だ。
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