インターナショナルプログラム歩き方ガイド 『見どころ解説』
第一弾は、プログラムディレクターによる見どころ情報について、プログラムごとにご紹介します。
1. インターナショナル I-A 見所
日時:11月24日(金)15:00~
会場:サツゲキ シアター4(地下)
①2023年ヴェネツィア映画祭で紹介され衝撃を与えたマレーシアの作品「そのまま切らずにお待ち下さい」。この作品は電話オペレーターとして働く娘がカギとなって父親との関係がスリリングに描かれていきます。最後に娘は何を選ぶのか?
②サンダンス映画祭で審査員特別賞受賞、ロッテルダム公式セレクションに選ばれた「エイリアン0089」はチリの作品で、「エイリアン0089」とはゲームのアカウントネーム。あるゲーマーが戦争ビデオゲームで受けたハラスメントを糾弾するために証言ビデオをアップロードしている間に、見知らぬ男が彼女の家に侵入し、コンピュータをハッキングする。とあらすじがありつつも映像は思考が何周もしており、物語が進むにつれて現実とバーチャルの世界の境界が曖昧になっていく映像体験は圧巻の一言。
③LGBTQ+をテーマとしたアニメーション「海の上のクリストファー」(UK)は、アヌシー国際アニメーション映画祭をはじめ世界中の名だたる映画祭で最高賞にノミネートしている作品。
アニメーションなのに非常に官能的、後半の重力表現は素晴らしい。ぜひ大画面で見てほしい作品。ほか全部で7作品、見ごたえあるプログラム。
2. インターナショナル I-B 見所
日時:11月24日(金)17:00~
会場:サツゲキ シアター4(地下)
①カンヌ映画祭のパルムドール賞にノミネートした「チェリーズ」はリトアニアの作品。仲の良い家族であるはずの父親と息子は、サクランボ摘みを通して時の流れを痛感する…そして、世界で評価された驚愕のラストを皆さんでお楽しみください。
②「PLSTC-プラスチック」(フランス)は今話題の生成AIを使って制作された実写のようなアニメーション作品。制作過程だけでなく、できあがった作品もある意味ショッキング。タイトルから連想される生々しい映像は私たちの未来への責任を考えさせます。ほか全部で7作品。
3. インターナショナル I-C 見所
日時:11月25日(土)11:00~
会場:サツゲキ シアター4(地下)
①2022年のサッカーワールドカップ・カタール大会の建設現場で起こったドバイの労働者問題・人権侵害をトラック運転手の視点から告発する衝撃のドキュメンタリー「蜃気楼」(シリア)。
②「花と、想う」(アメリカ)は突出して美しいドキュメンタリー。花を新しい感覚で見ること、および色について語る、故に作品中の映像も写真もどれもが美しい。親友のメアリーさんを偲び捧げるように、品格と尊厳そして世界を見つめる優しさが感じられる。
③「隣人アブディ」(オランダ)は隣人の映画監督の助けを借りて特殊効果スタジオを使い斬新な映像表現で戦争と犯罪に彩られた人生を再現する。
④マイケル・ジャクソンへの熱烈な愛を綴った「ディア・マイケル」はポップ・ミュージックのカルチャーをアニメーションを駆使して親しみやすく表現し、人生の縁と不思議さを感じさせるスペインの作品。以上4作品を上映。
4. インターナショナル I-D 見所
日時:11月25日(土)17:00~
会場:サツゲキ シアター4(地下)
①2023年米国アカデミー賞実写短編映画部門にノミネートした作品「赤いスーツケース」は必見。監督は過去に札幌で紹介されたルクセンブルクのサイラス・ネシュバ監督。空港を舞台に、女性の抑圧をテーマにサスペンスタッチで描きます。アカデミー賞にノミネートできる演出力、テンポ、テーマ性、そしてサイラス監督の才能をぜひ堪能してほしい。
②「シモ:ある家族の物語」はカナダの作品。ベルリン、サンダンス、トロント映画祭にノミネート。移民が時に疑われながらもそれすら飲み込み、しなやかに生きていこうとする生命力を賛歌する力強い作品。特に最後が印象的な作品です。
③「ザ・ウィナー」(イラン)人情噺が多いイランの作品の中で、この作品はぐっと心を掴まれる。あらすじ:レースに参加するために父親が買ってくれたヴァヒッドの新しい自転車が、最近盗まれた友人の自転車に似ている……。人が疑いをかけられ、争いの中に巻き込まれるとき、わたしたちはどんなふうにそれを避けることができるのか。子供ならなおさら何ができるのか。イランの素朴な市民の中の人間性に共感する。札幌の今年のテーマ、そして戦争が起こっているいま、ぜひ見てほしい作品。ほか全部で5作品を上映。
5. インターナショナル I-E 見所
日時:11月24日(日)15:00~
会場:サツゲキ シアター4(地下)
①「はじめてのデッサンモデル」(アメリカ)失業中の俳優ジェイコブは、美術教室のヌードモデルという珍しい仕事を偶然見つける。隣人が現れたとき、彼は自分の正体を隠し、芽生えつつあるロマンスを維持する方法を見つけなければならない。弱さ、意外な偶然、そして愛の見つけ方についての穏やかなロマンティック・コメディ。
②「メイキング・ベイビーズ:子作りラプソディ」カナダの作品。不妊はセンシティブな話題でもあるが色々な角度からみて監督のコメントに書かれていることをぜひ感じてほしい:監督)「MAKING BABIES」は、消えゆく恋人同士が経験するジェットコースターのような感情を描いた生々しい映画だ。骨太で、下品で、でこぼこしているが、最終的には愛と連帯への賛歌でもあり、寛大で団結力のある映画にしたかった」
③「頭がチクチク」ポーランドの作品。不条理世界のループをテーマにしており、デイビッド・オライリーの作品みたいなカオス感がツボになってくる。監督からの言葉「この映画は、不条理のループに閉じ込められるというモチーフでつながった十数個のエニアグラム・アニメーションで構成されている。視覚的にカラフルな観察の迷宮の中で、主人公たちはナンセンスの意味を理解しようとする―あるいは、無心にその中に留まろうとする」
ほか全部で5作品、見やすく楽しい作品が集まったプログラム。
以上、あれ?プログラムディレクターはドキュメンタリーに偏っている?と思わせつつ、コメディやシリアスドラマ、アニメーションもバランス良く散りばめられたおすすめになっているかと思いました。
Vol.2ではまた別の視点でガイドできればと思っています。
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