私が出逢ったツインソウル・魂の伴侶‐9‐
ツインソウル 魂の伴侶である彼との出会いから現在までを書き綴っています。
再会してからある時期までは、ふたりの意識には大きな違いがあった。
わたしは昔の彼を、彼は今現在のわたしを観ていたのだ。
少し時が過ぎ、彼に是非とも聴いてもらいたかったCDを、ようやく渡すことができたのが8月。
一緒に食事をしながらCDを聴き、カラオケを歌いに行き、月に一度くらいは一緒にカラオケにでも行きましょう、と軽い約束をしてその時は別れた。
その約束通り、10月の始めに会い、11月始めには一緒に映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観に行く約束もした。
会うたびに彼の記憶はどんどん蘇って、思考もクリアーになり、気持ちや気分がポジティブに変化して行く様子をみて、本当に嬉しかった。
一度に何時間も話し続けたけれど、少しも疲れたりしなかったし、一緒に記憶を辿ることは、わたしにとっても大きな意味があったことに後から気づかされた。
彼は、依然としてじぶんの気持ちをわたしに見せることはなかったし、わたしもまったく隠されていた気持ちに気づくことはなかった。
ただ、元気になったのはわたしのおかげだ、感謝している、と彼はそれだけをいつも言っていた。
でも会うたびに、話をする度に、思考がクリアーになるごとに、心の中で自問自答を続けていたと言う。
「何故、この人にはすべてを見透かされている気分になるのだろう?」
「そして、何故それが決して嫌だとは感じないのだろう?」
「この女性にすべてを話し、聴いてもらいたいと言う気持ちになるのは何故なのか?」
その答えはいづれも曖昧で、ハッキリとした確認は取れないまま、やがて約束の映画の日がやってきた。
映画は期待通りの作品で、ふたりで感動を共有しつつ、終わってからお茶でもして帰ろうか、と話していたのですが、結局いつも通りカラオケに(笑)
やはりいつも通り2時間ほど歌って時間が来たとき、彼は「30分延長してもらえるかな?ちょっと話があるんだ」と、それまでとは違った、少し改まったような様子でわたしに聞いた。
わたしも少し緊張感を感じつつ、彼が話し出すことに意識を集中させた。
真っ先に彼が口にしたのは、「実はあなたをひとりの女性として観てしまっている」という言葉だった。
わたしは、うんうん、とうなづきながら話の続きを待っていた。
(そりゃあ、もう53歳ですし、もうあの頃の高校生のわたしではないよね)
というのが、正直なその時のわたしの反応だったのだ。
彼が意図したことを、まったく捉えることのできない、鈍感なわたしだった。
それから彼は、今のじぶんの経済状況や、病気を含めた精神状態、じぶんの性格の傾向などを説明し、
「このままで行ったら、きっとあなたに迷惑がかかる」と言った。
わたしは、相槌を打ちながら聞いていたけれど、彼が何を言っているのか、何を伝えようとしているのか、だんだん分からなくなって来てしまっていた。
そして、彼は最後にこう言った。
「だから今日で逢うのは最後。」
その言葉を聞いた途端、わたしの頭の中は思考が停止したように何も考えられなくなってしまった。
まったく訳がわからない、クエスチョンマークだらけ・・・
ただ、「逢うのは最後」と言う言葉だけが頭の中で繰り返しリピートしていた。