五観の偈−中2女子農業を始める−
五観の偈
禅宗において食事の前に唱えられる『五観の偈(ごかんのげ)』という偈文(げもん:仏教の経典のなかで仏や教えを讃える語句)を母に教えてもらいました。
「この食卓はたくさんの生命や犠牲の上に支えられていることと、それらが自分の作り出す価値以上であることを自覚し、ガツガツと貪らずに残さずこの食事をいただく。これをいただくのは自分の身と心の健康を保つためで、このたくさんの生命に支えられて世の中をよりよくできるように精進するためである」という意味なのだそうです。
食べるものがあるという幸せを改めて考える
近年、スーパーやコンビニで1年中安価な食べ物が手に入るようになり、私たちは食に心から感謝することが減ってきたように感じます。今、世界中で食料に関する問題がたくさんあります。
例えば、日本を含める先進国ではフードロスが問題になっています。
今の日本の1年間の食品ロスは、約612万トン(東京ドーム約5杯分)となっています。
今の私たちは食に感謝するどころが食べ物を粗末にしているのです。
私は今まで調理してくれた人に対する感謝は欠かしたことがない(つもり)です。だけど食材を作ってくれた人、その過程に目を向けたことはありませんでした。
2024年の薩摩会議をきっかけに農業に興味を持ち始め、そこから鹿児島県姶良市にある新留地区を中心に農業に積極的に関わるようになってきました。
少し前の時代までは、地産地消が当たり前でした。
しかし今では遠い海の向こうの国から運ばれてくる食料に日本は支えられています。外国産の食べ物が毎日食卓に登るようになってきたのです。
日本の今の食料自給率は38%です。
この数字が大きいか小さいかは一旦脇に置いて、コンビニやスーパーの棚から食べ物が消えた時自分はどれだけ食べ物を確保する力/つながりがあるか、一度立ち止まって考えてみても良いかもしれません。
農業を始めてみた
私はこの秋から、使われていない農地を見に回ったり、実際に野菜を植えてみたりするなど農業の活動を始めました。上の写真は、今年の収穫の手伝いに行った時の写真です。
稲刈りや掛け干しは小学校の時に体験の時にちょっとやっただけだったので、ほぼ初体験でした。
どの工程も楽しかったですが、とても大変でした。
世界中の農家さんたちは毎年こんな大変な思いをして、野菜などを作ってくれているのかと思うと、本当にすごいなと心から思いました。
まだまだ小さな一歩ですが、自分自身が農業の分野に足を踏み入れたことで、一日3食もおいしいご飯が毎日食べられることがいかにすごいか実感できました。
私が最初に紹介した『五観の偈』の言葉の意味も、農業体験を通してより深く理解ができた気がします。
CSAからSAPへ
前払いによる農産物の契約を通じて農業者と消費者が相互に支え合う仕組みのことをCSA(Community Supported Agriculture)といいます。
これは従来の農業の仕組みより、農業者にとっても消費者にとっても利点が多いものです。しかし、以下のようなデメリットも考えられます。
消費者の受け身: 収穫物を受け取るだけの消費者が多く、農業への理解や関与が深まらない場合がある。
リスク負担の一方性: 収穫が不作の場合でも、消費者には通常の会費が発生し、満足度が下がるリスクがある。
農家との距離: 実際に農業体験を提供していないケースでは、消費者と農家のつながりが希薄になりやすい。
そこで私は、それを解決しつつ若者世代がもっと農業に関わっていけるようにSAP(Sustainable Agriculture Partnership)という仕組みを考えました。
SAPは、単に収穫物を購入するだけでなく、農業そのものを一緒に体験・サポートする形で、CSAが抱える課題に取り組んでいる点が大きな強みです。
SAPの優れている点
積極的な参加型体験: 田植え、草刈り、稲刈りなど消費者が実際の農作業に参加することで、農業に対する理解と関心が高まる。
リスクと達成感の共有: 作業を共にすることで、不作時のリスクも成果も共有し、消費者が自らの体験として感じられる。
強化されたコミュニティ連携: 消費者と農家が直接協力することで、互いの信頼関係が深まり、地域の一体感が生まれる。
このSAPの仕組みを考えるにあたって、参考にさせていただいたのが株式会社マナビノタネの森田さんが長野県北佐久郡御代田町(みよたまち)で始めた通い稲作塾です。
次回の投稿では、具体的に今後私たちが何をしていこうとしているのか、SAPとはなんなのかを紹介しよう思います。ぜひ読んでください!
この活動を通して、今回紹介した「五観の偈」の精神も広めていけたらなと思います。
みなさま応援よろしくお願いします🙇♀️!
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