繋がりと向き合う
私が中学2年生の頃、周りでは携帯の「メール」が普及し始めていました。私はその時メールに対して、なんて恐ろしいものが広まっているんだと感じたのです。
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周りの友達に「メアド教えて」と言われるたびに、私は何とかお茶を濁して回避していました。
どんなに仲の良い友達でも、常に連絡が取れる状態になるのを不安に感じていたのです。
私は当時、誰にも言えない「秘密の趣味」がありました。
そんな大層なものではありません。物語を書いたり、漫画を描いたりすることが大好きだったのです。ポケモンにも熱心になっていて、学校から帰った夜の時間にそれらを楽しむ時間を愛していました。
しかしその時は自分の趣味を、友達に打ち明けるのはすごく恥ずかしいことのように思っていました。周りの友達がオシャレや流行でキラキラしているのと比べ、私の好きなことはあまりにもちっぽけに感じたのです。
夜の時間は、私が人の目を気にせず過ごせる言わば「安全地帯」のような時間で、それを「メール」に侵されたくなかったのでしょう。
しかし時代は変わり、大学生になるとメールとは比べ物にならないコミュニケーションツールが誕生しました。
LINEやSNSです。
あまりの便利さに、衝撃を受けました。最初は抵抗がありましたが、もう始めない訳にはいかない。始めてしまえば、その情報量とスピード感にむしろ快感を覚えました。
しかしそれと同時に、スマートフォンを見て何の通知も無いと、がっかりしたりつまらなくなってしまうようになりました。
よく考えると、これは不思議だなあと思います。
あんなに繋がりたくないと思っていたのに、誰からも連絡がないとがっかりしている。
SNSの影響力は本当にすごいと思います。
人を真逆の考え方に変えてしまう。
というよりも、自覚していなかった(あるいは自覚したくなかった)だけで、きっと誰でも「自己顕示欲」や「承認欲求」を持っている。
しかしその求心力があまりにも強すぎて、その人の生活をわがもの顔で支配してしまう。
そして何より恐ろしいのは、「通知は来てるかな」「いいねされているかな」と、自分自身で「人の目」を作り出してしまう…。
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とは言え、IT進化の恩恵は素晴らしいものです。
チャンスが生まれる可能性は計り知れないし、もうお茶を濁して回避している場合ではありません。
恐ろしいものだけど、上手に付き合っていく。
その為には、かつて安全地帯にいた「くっきりした自分」をしっかり持って、人の目にさらされ続ける境目のない情報の海に身を投じていく覚悟が必要そうです。
頑張って泳いでいきたいと思います。