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「音楽の羽衣に触れさせてもらえた瞬間」〜カルテットコンサートに行く〜

弦楽四重奏のコンサートに行ってきました。
ドイツのベテランかつ正統派弦楽四重奏団「ヘンシェル・クァルテット」

今年になって弦楽四重奏のコンサートに行くようになったのですが、毎回驚くのが、弱く細くなっていく音がこんなに聞こえるなんて!&こんなに表現するんだってところ。
繊細なガラス細工とか刺繍のされてる羽衣とかを触らせてもらっている感覚です。
「え?いいんですか?壊れちゃいませんか…えー、すごい!怖いけど美しい!存在しているのが奇跡!それを今感じられるなんて!」みたいに感じます。
私の数少ないクラシックコンサート経験だと、やっぱり印象的なのって盛り上がるところとか音が体に響くとか、尻上がりとか大きくなっていくことの高揚感なんだけど、無に近づいていく間際、引き算の表現にググッときたのが発見。それはCD音源とか配信動画では感じなくて、そこが生演奏を会場で聞くことの醍醐味なんだなぁって実感しました。
初回にそれを感じたので、今回は小さい音を聴きに行く姿勢で向かいました。
書をやっている私としては、小さいもの、細いものを美しく存在させるのには腕のコントロールといかに必要。腕や手、筋肉がしなやかに動くけれど必要なところで止まる、キープできる。そこが重要で、その鍛錬によって生まれる「小さい美しい音」を堪能しようと耳をそば立てました。


同じ第一生命ホールで2回聴いた感想。
初回は、レオンコロ弦楽四重奏団。
同じ弦楽四重奏でもこんなに音が違うとは!素人でも感じます。
今日のヘンシェル・クァルテットさんは、音がまろやかで溶け合って一つになっている感じ。四つの楽器の境目がなくて、会場全体に音の球体が作られてその中に私たちが入っていくような、音の中で音を味わう感じがしました。曲の始まりも明確な目配せとか意思疎通がなくても、ぴったり合って始まっていく。

対してレオンコロ弦楽四重奏団さんは、四つの楽器が調和の中でもビシバシ個性が溢れているというか、それぞれがくっきり遠くに届く。音の柱が四本ある感じで、奏者さんの息遣いを感じているみたい。

双方の感じが、年齢やキャリアによるものかメンバーの個性なのかはわからないけれど、こんなにも違うのか!とびっくりしました。

浸ってうっとりするのがヘンシェル・クァルテットさん、
刺激されて活性化するのがレオンコロ弦楽四重奏団さんというイメージでした。

違うプログラム、違うカルテットの聴き比べをしてみたい今日この頃です。



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