地下鉄の花束
夜明けの地下鉄
花束を買う
自動販売機
幽かな音をさせて落ちてきた花束は
葉脈の先端までも冷え切って
冷気は握る私の掌から
背中へと抜けてゆく
覚めきらぬ晩の酔いを残し
走り出す車両に
朝日は射さず
何処までも何処までもトンネルの中
走り続ける
あなた
わたし
何処までも何処までも
トンネルの 中
何処までも
あなた
わたし
花束
あなた
わたし
花束
何処までも何処までも
熱を孕んで
ああ
花束がとろけてしまう前に
地上に出よう
次の駅は
次の駅は
花束がとろけてしまう前に
あなたをここに
置き去りにしても
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