見出し画像

地下鉄の花束

夜明けの地下鉄
花束を買う
自動販売機
幽かな音をさせて落ちてきた花束は
葉脈の先端までも冷え切って
冷気は握る私の掌から
背中へと抜けてゆく

覚めきらぬ晩の酔いを残し
走り出す車両に
朝日は射さず
何処までも何処までもトンネルの中
走り続ける

あなた
わたし

何処までも何処までも
トンネルの 中

何処までも
あなた
わたし
花束
あなた
わたし
花束
何処までも何処までも

熱を孕んで

ああ

花束がとろけてしまう前に
地上に出よう
次の駅は
次の駅は

花束がとろけてしまう前に

あなたをここに
置き去りにしても

いいなと思ったら応援しよう!

にのみやさをり
よかったらサポートお願いいたします。いただいたサポートは、写真家および言葉紡ぎ屋としての活動費あるいは私の一息つくための珈琲代として使わせていただきます・・・!