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嘘の糸

君が嘘をついた
君の口の端が小さく歪んでる
分かりきった嘘でも
見透かせる嘘でも
つけばそれは どうやっても
嘘以外の何者でもなく

君が嘘をついた
少し前を歩く君が
振り向けば
帽子の影から覗く
口の端
おざなりな口紅で
色づいた唇

つけば 嘘
ばれても 嘘
なら
突き通せよ 最期まで
何処までも何処までも何処までも
突き通せよ その嘘
途中でひけらかすなんて卑怯な真似
御免蒙る

そうだ、
僕がこれまでついてきた嘘
教えてあげようか
君の目の前で
指折り数えてみせようか
今ここで

君は
笑って聞き流すかい
嘘に踊らされてたことを知っても
そうだったの と流せるかい 嘘の山
だったらいいね
そうだったら
聞き流せない嘘がひとつも
なければそれで

でももし あったら?
あったらどうする?
僕たちはここから
どうやって歩いてく?

所詮他人同士
どうやっても他人同士
結んだつもりになっても
糸は解けるし
切ることだってできる
固い絆なんてこんなに
脆く儚い

だから
突き通せよ 最期まで
所詮切れる糸でも
切れる日までその指に
結びつけておけるよう
突き通せよ 最期まで
ついた嘘なら
一度でもついた嘘なら

開きかけた掌を 僕は握り締める
ねぇ、

僕のこの指から伸びる糸は今
何処に繋がっている?

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にのみやさをり
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