躊躇足
いいだろ、もう、
あきらめちまえば きれいさっぱり
どうってことない、たった一歩
踏み出すだけ
疲れた とか
堪えられない とか
空っぽだとか
無気力だとか
それが何なの?
どうだっていい どうだっていいのさ、
言いたい奴には言いたいように言わせておけば
でも ヒトがどう思うかって?
何とも思いやしないよ
そんなにみんなヒマじゃない
自分のことでたいてい手一杯さ
んなことより
僕が僕をそうやって
雁字搦めにしてるってだけだろ
体裁繕って
過去にとっつかまって
もう
どうだっていいじゃん そんなこと
それだけのことさ
だのに
僕は云うんだ、今日もまた
「でも でも でも」
あぁ、もう
聞き飽きたよ
云い飽きたよ
千の言葉を用いても
億の言葉を並べても
どれもこれも当たっているようで
どれひとつ 当たっていない
形容する言葉があるなら
まだよかった
けど所詮
言葉なんて 手にした傍から墜落する
一瞬にして
墜落の軌跡は 垂直に突き刺さる
地平を真っ二つに切り裂いて
抱えた幾つもの亡骸と
引きずる幾つもの亡骸と
連れて歩くにはもう、足が痛い
いや、もしかしたら
何も
引きずっていないのかも 最初から何も
抱えてなんかいやしないのかも
まただよ
この繰り返しだ、だからもう、
どっちでも
いいんだ、どっちだって
そんなことじゃなく
今僕に そう思えるってことだけが
僕の真実 で
この、今の
僕の足の痛みがもう
堪えられる限界を超えちまった
ってだけの話で
なのに
なのに
躊躇ってるんだ
迷ってるんだ
この一歩を
抜け出す一歩を
踏み出すこと
墜落する言葉の軌跡が
幾筋も幾筋も 空を往く
地平に突き刺さり、幾筋も突き刺さり、
地平を裂傷させ、そして
躊躇う僕に構わず
夜はまた 明ける
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