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ちいさな詩たち🌜

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詩をつらつらと投稿しています💭※写真は「Pixabay」さんというサイトから使わせていただいています。
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2023年6月の記事一覧

まっしろな画面に、文字をとおして色をつけていく。どこか儚さが漂う、オレンジや黄緑、水色の文章。そして、そのちょっとの隙間にちいさく隠れた、黒色や灰色。それぞれが本音で、建前で、泣き声で、笑顔で。他の色では代筆できない、どんなトーンの色でできた文章もすべて大切な宝物になっていく。

そのときの自分、そのときの感情、そのときの感覚。そのときにしか書けないものがあって、そしてそれはほかのだれでもなく、世界でたった一人、自分にしか書けないもの。それは人目につかず、光に反射した広い海のなかを一匹だけで泳ぐちいさな魚かもしれないけれど、わたしはそれを大切に愛でていく。

雨が降りはじめて安心した気持ちになって、太陽の光が届きはじめて不安な気持ちになる。自然は自然のまま生きているけれど、わたしたちは自然になんて生きていけなくて、いつも矛盾した心のなかで生きていく。でもきっとそれが自然な在り方。だから、雨も太陽もじぶんのことも、まるっと包み込みたい。

風でふわっとふくらむカーテン。まるでなにかをやさしく包みこんでくれているような安心感に、風と一緒に入ってきたかすかな緑の匂いも心地いい。ひとりぼっちだった空間に、折々の自然が部屋のなかに舞いこんできてくれる。そう、わたしはきっとひとりじゃない。そしてそんな今日が、とても愛おしい。

雨の音に安心感を抱くとき。それはきっと、じぶんでじぶんのことを大切にできるようにがんばっているときなのだとおもう。雨の音をききながら、ただゆっくりと過ごす時間。雨の音をききながら、静かにじぶんと向き合う時間。きっとだれしもに、人生で一度は雨の音が好きになる時期がやってくる。