短編小説『お昼休みの非常階段』
そんなそれぞれの思いとは裏腹に、今日もまた、新たな一日がスタートする。
♦♢♦
「ちょっと、橘さん。2年2組の春見くん、また今日も英語の授業欠席したでしょう?」
4限目の授業を終え職員室に戻ると、後ろからキンキンとした声がきこえてきた。振り返ると、わたしとおなじ英語科の坂井先生が腕組みをしながら険しい顔つきで立っていた。瞬間、ファンデーションのきつい匂いがマスク越しにでも鼻をついた。わたしは眉をしかめないようにと眉間に意識を集中させる。
「あっ、そうなんです・・・・・